Common コモン

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Magazine Introduction

1992年にシーンに登場して以来、コモンは非常に興味深いキャリアを重ねてきた。シカゴ出身のこのMCは、カメレオンのようにカラーを変えながら、アルバムを発表するたびに自身の音楽を再定義し、アーティストとして新しい一面を見せてきた。彼は革新と実験を常に最優先に考え、進化する表現者であり続けてきたのである……。コモンの動向に注目し続けてきた著名な音楽ジャーナリスト、ジャスティン・チャドウィックが、2000年に生まれた傑作『Like Water for Chocolate』の魅力を完全に解き明かす。

Artist Profile

MC・俳優としても活躍するヒップホップ界セレブスターCommon(コモン)

コモンは、教師の母とバスケットボールプレーヤーの父のもと1972年、アメリカ・シカゴに生まれる。若くしてラッパーとしてアンダーグラウンドで活動を始め、彼のアメリカ社会や政治に対しての思いや、改革を主張したリリックスは多くのオーディエンスから支持される。コモン・センスとして1992年にデビューアルバム『Can I Borrow a Dollar?』をリリース。1994年には、『Resurrection』(リザレクション)をリリースし、1997年には、Common(コモン)としてアーティスト名を改名した。

シングル「I Used to Love H.E.R.」(アイ・ユーストゥ・ラブ・ハー)を含む『One Day It’ll All Make Sense』(ワンデー・イッツ・オール・メクセンス)はLauryn Hill(ローリン・ヒル)や、De La Soul(デ・ラ・ソウル)、Quest Love(クエスト・ラブ)らとのコラボレーションも実現したことで話題になる。その後、クエスト・ラブらを含むネオソウルヒップホップ集団Soulquarians(ソウルクエリアンズ)らとの制作が中心となり4枚目のアルバム『Like Water for Chocolate』(ライク・ウォーター・フォー・チョコレート)を完成させた。このアルバムに含まれる「The Light」は、グラミー賞にもノミネートされる。

2002年のアルバム『Electric Circus』(エレクトリックサーカス)は、Mary J. Blige(メアリー・J・ブライジ)、Jill Scott(ジル・スコット)、Pharrell Williams(ファレル・ウィリアムズ)、Erykah Badu(エリカ・バドゥ) Prince(プリンス)など豪華アーティスト達とのフューチャリングを実現し、ロックやエレクトロニカの要素を取り入れたコモンとしては新しいチャレンジ作品であった。

ベストR&Bソングとしてグラミー賞を獲得したCommon(コモン)

2003年、コモンは当時交際関係のあったエリカ・バドゥとのフューチャリング曲、映画Brown Suger(ブラウンシュガー)のサウンドトラックでもある「Love of My Life」(ラブ・オブ・マイ・ライフ)でベストR&Bソングとしてグラミー賞を獲得した。2004年には、同郷シカゴ出身のラッパーKanye West(カニエ・ウエスト)の立ち上げたレーベルと契約し、翌年にはカニエ・プロデュースの元、ファンクソウルテイストなアルバム『Be』(ビー)をリリースし、全米売り上げ80万枚を成し遂げた。彼のヒップホップアーティストとしての人気はさらに多くのオーディエンスに認められる。

その後もコモンは、『Finding Forever』(ファインディングフォーエバー)、『Universal Mind Control』(ユニバーサル・マインド・コントロール)、『Nobody’s Smiling』(ノーバディズ・スマイリング)などを、次々とリリースした。MCとしての人気を増す中、俳優としての活動も活発であった。Just Wright(ジャストウェイト)、The Odd Life of Timothy Green (ティモシーの小さな奇跡)などの作品に出演し、マルチタレントなセレブスターとして君臨する。代表作として、Girlfriends(ガールフレンズ)、ターミネーター4などにキャスティング。2014年には、1965年にアラバマ州セルマで起きた血の日曜日事件を描いたアメリカの歴史映画であるSelma(セルマ)にも出演。主題歌の「Glory」(グローリー)は、第87回アカデミー賞主題歌賞やゴールデングローブ賞主題歌賞を勝ち取った。授賞式でのジョン・レジェンドとのアフリカ系アメリカ人公民権運動に対しての熱いメッセージのこもったスピーチも話題となる。

ジョンレジェンドやビラル、ジャズピアニストのロバート・グラスパーなどと制作

2016年には自身11作目となる『Black America Again』(ブラック・アメリカ・アゲイン)では、R&B・Soul界の大御所Stevie Wonder(スティービー・ワンダー)とフューチャリング。アルバムタイトル同名のこの曲のミュージックビデオでは、ルイジアナ州で起きた黒人男性アルトン・スターリングさんが白人の警官に射殺されたショッキングな映像が用いられている。現代アメリカ社会で問題となる、警察による無差別な黒人に対する背景を主題にしたこの曲は、コモンが最もアーティストとして現代の世の中に伝えておきたいメッセージであろう。彼のニューアルバムは、他にもジョンレジェンドやBilal(ビラル)、ジャズピアニストRobert Glasper(ロバート・グラスパー)も楽曲に携わっている。コモンの革新的で熱いメッセージのこもったこのアルバムは必聴の作品だ。


Yayoi

Wax Poetics Japan ライター

ライター・翻訳。幼い時から伝統阿波踊りや、トランペットを習うなど音楽に触れて育つ。15歳の頃からブラックミュージックに心を奪われ、ストリートカルチャーやアメリカの音楽文化を学び今に至る。ブルックリン在住。

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