B.D.とMr.Itagaki a.k.a. Ita-choがBack ChannelとのEPを語る

September 29,2016 | Category :  Interview | Tag :  B.D., BACK CHANNEL, Mr.Itagaki a.k.a.Ita-cho,

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Title photo by Cherry Chill Will

B.D. x Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho: “BORDER” Back Channel Special Box Set Interview

Back Channelとのコラボ・ボックスセット 『BORDER』をリリースしたばかりのB.D.とMr.Itagaki a.k.a. Ita-choにインタビューを敢行した。

音楽を聴く手段の選択肢が増えた今、様々な音楽との向き合い方が存在する時代になった。ダウンロードやストリーミングという音楽の聴き方の利便性に魅力を感じる人は増えているが、レコードやCDといったフィジカル・フォーマットで音楽を“持っておく”ことが一番しっくりくるという人も少なくはない。しかしそのアナログな音の質感であったり、存在感のあるジャケットであったりと、レコードには唯一無二の特徴があり人気も根強いが、CDというメディアは勢いを失いつつあるものかもしれない。普段からCDを購入している人であってもパソコンに苦手意識を持っていないかぎり、大半の人はパソコンに取り込んでデータ化して聴いているだろう。CDというフォーマットは今後、更にその存在意義が問われるメディアになるのではと筆者は日頃から考えていた。

さて、そんななか飛び込んできたこのニュースは興味深かった。The Brobus、Tetrad The Gang of Four、Sexorcistなど様々なグループで活動し、ソロ・アーティストとしても2013年に『BALANCE』でメジャーデビューを果たし、着実にキャリアを積んできた東京代表のMC、B.D.と、元Manhattan Recordsのバイヤーにして日本屈指のヴァイナル掘り師、そしてNitro Microphone Underground周辺アーティストへの楽曲提供で知られるプロデューサー、Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho。黒い音好きのふたりがコラボレーションEP『BORDER』をCDでリリースした。だが、ただのリリースとは異なり、ハイクオリティなストリート・ウェアのアパレル・ブランドとして支持を集めているBack Channelの協力のもと、キャップとタオルがセットになったボックスセットとして発売したのだ。

『BORDER』は全11曲入りのEPとなり、トラックは全てMr.Itagaki a.k.a. Ita-choのプロデュースであり、ラップはB.D.が担当(1曲にOMSBをフィーチャー)。キャップ、タオル、ボックスとCDの盤面デザインは、B.D.の『BALANCE』のジャケを手がけたことでも話題になったデザイナー、Kantoによるもの。同EPはデータ配信やCD単体での発売は予定されていないため、このパッケージでのみ購入できる作品ということになる。なお、CDにはジャケットが付いていないかわり、タオルとボックスにQRコードが印刷されており、タオルのQRコードを読み取ると歌詞カードが観覧できるという仕掛けが用意されている(ボックスはBack Channelのオフィシャルサイトへと飛ぶ)。

9月23日に店頭に並んだこのボックス・セットは、CDで音楽をリリースするという行為へのひとつの解答とも捉えられる面白い試みである。どういった想いがあってこの作品が完成したのかを探るべく、B.D.とMr.Itagaki a.k.a. Ita-choのふたりに話をきいた。

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B.D. x Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho “Guidance / Iranai feat. OMSB”

B.D.とMr.Itagaki a.k.a. Ita-choが語る宇田川コネクション

―― おふたりの出会いはいつ頃でしたか?

B.D.: Itagakiさんがやってたお店にお客さんとしてよく行っていたんですよ。共通の知り合いがいて自分が一方的に知ってたんで、よく遊びに行ってました。置いてあるものがすごい好きなものばっかりで。で、お店に遊びに行ってる間にいろいろ話をきかせてもらったりして。

Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho: そのときのコウヘイ(B.D.)といえばBB INCって感じだよね。Bigzamとかのクルーで、あとS-Wordのサイドをやったり。

B.D.: そうですね。Nitro周りで自分が色々やらせてもらってたときに繋がった感じですね。

Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho: 当時の宇田川のコネクションというか。よく知らなくても、そこにいれば繋がりがあるっていう雰囲気になってた。

B.D.: 俺はギリギリ最後の世代だと思います。俺以降は宇田川の街自体が変わっちゃって。

Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho: 甘い汁がいっぱい垂れてた時代でしょ。

B.D.: (笑) お店にいれば色んな人に会えるっていう感じでした。2000年代初期とかですかね。

「なんでもありな時代だからこそちゃんと線引きしようよっていう考え方」 ― B.D.

―― 今回のコラボはどういう経緯で始まったのですか?

B.D.: 最初にトラックをItagakiさんから受け取ってて、それでEPを作ろうという話になって。洋服のブランドと絡めてミックステープを出すとかって最近多いんで、普通の形で出すよりはそういったフォーマットのほうが面白いんじゃないかと思って。で、共通のブランドの知り合いということで先に名前が出たのがBack Channelだったんです。

Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho: 昔みたいに1曲1曲シングルを出して、アルバムを出してってできる時代じゃないし、表現したいものが断片的になって忘れたころにもうひとつ出すとかやってもインパクトがないから、じゃあトータルパッケージでひとつの作品にしようっていう。レコード会社に頼っても結局は「バジェットはそっちが持ってきてください」、「コマーシャルの費用もそっちで用意してください」って言われた挙句、「売れるもん作ってくれるとありがたいです」って言われるだけ。金出さないのに口出すのかみたいな感じだから、だったらお互いに付き合いがあって、昔からサポートしてもらってて、こっちがやってる音楽をちゃんと理解してくれてるBack Channelとやろう、ってなった。

―― タイトルの『BORDER』はどういったコンセプトから来るのですか?

B.D.: このアルバムを始めるときにItagakiさんから2つの題材をもらったんです。『迷走王 ボーダー』という漫画と、『権力(パワー)に翻弄されないための48の法則』という本でした。

Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho: 『48の法則』はもともと海外の本で、DJプレミアが腕に墨入れてたり、50セントがリリックで使ってたりとか色々ラッパーにも引用されてるんだけど、書いてあることはアメリカ人らしいというか、「こうしてでも成功しようぜ」っていう考え方で、良い言葉もあれば、日本人のメンタルでは共感しにくいけど「確かに・・・まぁ」みたいなのもあって。

B.D.: いろんな解釈ができますよね。だから面白くて。EPの「48 Tricks」という曲がまさにそのことを題材にした曲なんですけど、その2つの本を最初に読んだときに、なんか“BORDER”というタイトルが凄いしっくりきて。常に境界線にいるというか、こちら側とあちら側があって、こういうなんでもありな時代だからこそちゃんと線引きしようよっていう考え方で。

B.D. x Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho “48 Tricks”

Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho: 『ボーダー』っていうのが、“あちら側”と“こちら側”で線引するというのがテーマな漫画で。つまり、わかってくれる側とわかってくれない側で線を引いて、わかってくれない側には最初から期待しない。それって『48の法則』に書かれてることにもちょっとかぶってるんだけど、自分がやりたいことをわかってくれる人に向けてやる。断片的なことでちょっとだけ興味を持たれたとしても、そのためにその人達に迎合する必要は一切ない。そういう考え方がすごいしっくり来るんだよね。その本は俺が高校出たくらいに読んだんだけど。

誰にでもウケるものなんて絶対にないわけでしょ?じゃああちら側は最初から相手しないで、理解してくれるこちら側のほうだけ向いてやったほうが早いよねっていう。「その考えコウヘイどう思う?」っていう俺からの問いかけの、答えなり感想なりが今回のリリックになってる。

B.D.: 最初に題材があったんで内容を決めやすかったですね。あと漫画の内容が面白いんですよ。最終的にウェイラーズをバックバンドにしてライブをやるんですよ。

Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho: 毛生え薬で毛が生えてきたらなぜかドレッドになってて(笑)。

B.D.: 結構内容めちゃくちゃなんですけど(笑)、その時代にこの内容の漫画があったこと、自分は知らなかったんで驚きました。

―― アイディアの伝え方として、漫画や本を渡すというのは面白いですね。

Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho: まぁ両方とも渡してなくて、「これを探して買え」って言ったんだけどね(笑)。そこで渡しちゃうとだめなんだよ。やっぱ努力しないと、モノを手に入れるためにはね。大変だったんだよね?

B.D.: 全巻そろえるのは結構大変でしたね。昔の漫画なんで。本屋に置いてあっても部分的だったりとか。あとレコードと同じでオリジナルとか再発とかもあって、ジャケがオリジナルのほうが格好良いとかあるんで。

トランクス・ブランドとしてスタートしたBack Channel

―― Back Channelというブランドには、おふたりはどういうイメージを持っていますか?

B.D.: やってるのが先輩たちで、立ち上げの頃から仲良くさせてもらってます。今回のボックスセットの前にも洋服でやらせてもらったりとかしてて。あと前にBack ChannelがタオルとミックスCDのセットをやってたんですよ。それがすごい面白くて、やってみたいなと。こうやってアルバムのセットをやったのはBack Channelとしても今回が初だと思うんで、やれて良かったですね。

Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho: 最初はトランクスのブランドだったんだよね。俺がManhattanで働いてたときに3階を全部事務所にしてて、そこにNitroとか周りの人がよく溜まってて、立ち上げのときに箱でいっぱいトランクスが送られてきたんだよね。「おお、すごいのやってるとこがあるんだ」って思って。確かDeliか誰かにBack Channelの人を紹介してもらったんじゃないかな。友達の友達みたいな繋がりがあって。最初はトランクスのブランドっていう認識だった。

―― 今回のボックスセットのデザインはどういったアイディアが基になってるのですか?

B.D.: 『BORDER』という世界観のなかで世界地図は絶対に入れたいなとまず思ったから、ボックスは世界地図になっててキャップのメイン・シンボルがコンパスになってます。キャップの横にあるシンボルは上の4つが“陸”、“海”、“空”、“風”を表現してて、その下は「ボーダー」って点字で書かれてて、その右はBack ChannelとかKantoくんと一緒にやるときにいつも入れてもらってるマーク、その横はQRコードです。タオルは航空チケットのデザインになっていて、QRコードを読み取るとアルバムのリリックが読めるようになってます。

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次のページ:「モノとして出す価値が音楽にはある」

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RELEASE INFORMATION

BACK CHANNEL×B.D.×Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho
-BORDER SPECIAL BOX SET-

  • 発売日: (金)
  • レーベル: GREEN BACK
  • 価格: ¥10,000+tax
Tracklist
  • 1.Mezame
  • 2.48Tricks
  • 3.Guidance
  • 4.Seventh Heaven
  • 5.16deep
  • 6.Fly Wire
  • 7.Iranai feat. OMSB
  • 8.Lemon
  • 9.Groovy Line
  • 10.Better Days
  • 11.Next Door

BORDER OFFICIAL SITE
http://border.grbk-killaturner.com

BACKCHANNEL OFFICIAL SITE
http://www.backchannel.jp/

PIMP & KILLA
-BORDER SPECIAL BOX SET RELEASE TOUR-
  1. 10月15日(土) 松本 @ GNU2ND
  2. 10月22日(土) 大阪 @ STOMP
  3. 10月29日(土) 仙台 @ CLUB SQUALL
  4. 11月19日(土) 高崎 @ WOAL
  5. 11月26日(土) 千葉 @ SOUND BAR MUI
  6. 12月03日(土) 広島 @ CREAM
  7. 12月16日(金) 青森 @ B.B CAFE
  8. 12月17日(土) 盛岡 @ MAD DISCO
  9. 01月08日(日) 札幌 @ DRIP CAFE
  10. 01月21日(土) 金沢 @ MANIER
ARTIST PROFILE
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B.D. (Rapper) 
10代よりソロ活動をスタート。その後IKB(池袋)や渋谷宇田川町を地場にTHE BROBUS (B.D.,BAZOO,DWEET,HASSY THE WANTED)を結成し、2枚のアルバムをリリースする。解散後再びソロに転向し『THE GENESIS』をリリース。その活動と平行してTETRAD THE GANG OF FOUR(NIPPS,B.D.,VIKN,SPERB)を結成。また、NIPPSとB.Dが中心となりアンダーグラウンドの雄が集結したTHE SEXORCISTが誕生。変態キャンペーンを合言葉にその活動に大きな注目を集める。そして2013年末にはユニバーサルミュージックよりメジャーアルバムとなる『BALANCE』をリリースする。KILLATURNER名義で制作したDJ MIX『KILLA SEASON_v』も各方面より高い評価を得ており、現在はDJとしての活動も行う。
grbk-killaturner.com
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Mr.Itagaki a.k.a.Ita-cho (Producer)
Digger, producer, beatmaker, DJ, vinyl dealer,v intage blaxploitaition & kung fu poster dealer。ヒップホップのレコードを世界一売った店の元バイヤーとして 100タイトルを越えるエクスクルーシブ盤の制作やクラシックタイトルの再発に関わり、高い評価を受ける。アメリカ、ヨーロッパなど海外へ買い付けに行っては掘りまくるハードディガーであり、 数多くのジャパニーズ・ヒップホップ作品のプロデュースワークでも知られる。DJプレイでは各地にて黒いバイブスに裏付けされた幅広いジャンルの選曲で玄人筋から評価を得ている。06年のオリジナルアルバムに続き、09年にビクターエンターテインメントよりリリースされたP&P records音源を使ったオフィシャルMIXCDは、UKチャートでNo. 1を獲得。作品のジャケットデザインを始め、アパレルブランドのアートワークディレクションもこなす元調理師でK.O.D.Pのメンバー。
thevinylpimp.com
kanto
寛人 / Kanto(Designer)
建築をイギリスで学び、世界各地で建築設計やインテリア、プロダクトデザインを行う。一方で、2011年より独学にて”Maze”と名付けた手法で絵の制作を始める。現在は主に音楽演奏の場でのライブペインティングや、建築、デザインの領域で活動。太さの異なる線を組み合わせたグラフィカルな画風で陰影を表現し、写実と抽象の融合を試みている。
backchannel-logo
BACK CHANNEL
1999年、東京でアンダーウェア・メーカーとして製品作りをスタート。ブランド名は「裏ルート」という意味を持ち、現在ではテキスタイル、シェイプ、ファンクションの融合をコンセプトに、トップスやボトムスにアクセサリーといった幅広いメンズコレクションを展開している。ストリートを背景に、高品質マテリアル、高性能ディテールをとことん追求し、毎シーズン独自の世界観でオーセンティックなアパレルを表現。また、近年では本格アウトドアブランドとのコラボレーションも実現し、アウトドア愛好家も納得するハイクオリティなプロダクトを数多く発表。着る人の雰囲気や個性を最大限に引き出すことを意図した、洋服作りを続けている。
BackChannel.jp

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