繋がないDJなんてDJじゃない

Posted by     Kay Suzuki | October 27,2016

先週末の日曜日にライブ放映されたBoiler Roomに僕の妹分で現在ハウスメイトでもあるDonna Leakeが初出演。前回のブログでも触れた僕のアフロな似顔絵を描いえてくれたのも彼女です。
 
donna
 
今やその素晴らしい音楽的センスとピュアなハートを武器にbrilliant cornersのDJブッキングを担当し、ここ1年の間で瞬く間にスターDJに登り詰めた彼女。その自由奔放なキャラクターと、ブースから溢れ出る彼女の音楽愛で、常に彼女のフロアはハッピーなヴァイブ。毎回プレイする度にその場でオファーが殺到し、今年はモンテネグロのフェスから数々のパーティにも出演。

この日も友達数人で彼女のプレイを見に行き、いつも通りの彼女のセットを満喫して踊った後はみんなでそのまま僕がプレイするパーティへ。Donnaを含めてみんなで踊り明かした後、翌日のBoiler Roomの再放送を見てビックリしたのがその反響とそのコメントの内容。
 

(以下勝手に日本語訳)

「彼女、繋げてないじゃん!」

「退屈だ〜!」

「踊りながら再生ボタン押してるだけだ!」

「こんなのDJじゃない!iTuneシャッフルだ!」

「これだったら俺でもBoiler Room出演できる!」

「彼女の採ってるドラッグを俺にもくれ!」
 

と数々のヘイトコメントが殺到、そしてそれらを嘲笑うかのような多くのサポートコメントが大逆襲。Boiler Room史上、最短時間で閲覧回数が爆発し、3日経った現在、facebook上では18万回(!)以上再生。ちなみに計3,800件以上のいいね!、2,000コメント、更に460シェアと、彼女は一夜にしてインターネットセンセーションになったのです。
 
こちらはfacebookからのティーザー。フル動画は下に掲載しています。

 

今や世界中から視聴者が押し寄せ、現代のMTVと化したBoiler Room。どのアートフォームやメディアでも言える事だとは思うのですが、それを楽しむ分母が増えていく一方で、その本質のルーツや思惑とは違った角度で捉えていく人も増えていくもの。

 

Waxpoetics読者にはわざわざ説明するまでもないかとは思いますが、ハウスやテクノのように元々楽曲自体がDJ用に作ってあるものであれば、DJがスムースに繋げる事で更に長い時間軸でのアレンジを作る事が、DJというアートフォームの”一つ”である事は間違いないのですが、それがどの音楽形態にも当てはまる訳ではなく、まして彼女がハマっているジャズやワールドミュージックのような卓越したミュージシャン達がイントロからアウトロまでの楽曲を制作したものをわざわざ途中で繋ぐ事でその楽曲自体をぶち壊す事も多々ある訳です。

更に彼女の選ぶレコードのどれもが最初から最後まで楽しめるような素晴らしいものばかりで、ビートマッチングをしなくてもその空気間を繋ぐ事でまた一つのフロウを作っているのです。Mr Mukatsukuこと、Nik Westonもじっくりと鑑賞したようで「知ってる曲が一つも無かった・・・」と、その類まれな彼女の選曲に彼もノックアウト。
 

僕達は幸福な事にDavid MancusoのLoftや、AdeのPlastic Peopleの教育のおかげで、それまでビートマッチングする事がDJだと思っていた処から、音楽のセレクションとその音響自体を楽しむという境地に達する事が出来たのですが、そういう経験が無いまま、ハイプ(メディア)とテクニカルな要素ばかりが先行している現代のDJ/クラブシーンにどっぷり没頭してしまうとそういう形にこだわってしまうのも無理は無いかな、とも思ったりします。おまけに映像を流してDJが何かパフォーマンスをする事を期待してるようなこのような設定では尚更。そもそも友達のThristianがBoiler Roomを始めた頃は「DJがレコードかけてるのを見ていて何が楽しいんだ?」なんて反響が多かった事を考えると皮肉なモノです。
 

そんな炎上を見かねたのか、翌日のBoiler RoomのInstagramでは彼等が異例のコメントを発表。
 

blog_donna_BR2


”昨日のDonna Leakeのセットでのコメントを見て、私達は真髄を簡単にでも伝えるべきだと思いました。

素晴らしいDJの何たるかは全ての曲同士を繋げてビートマッチングする事ではありません。何よりも先に”ミュージックラバー”である私達の目的は良い音楽をチョイスする人達をプロモートする事で、Donnaはそういった意味で沢山の素晴らしい音楽を紹介してくれました。

繋ぎ目の無いようなミックスを欲しいリスナーの皆さん、私達にはそういうったものが既に沢山あるのはご存知のはずです。

それでもフェラ・クティとロニー・リストン・スミスでビートマッチングを試みれば、私達が何故この才能溢れるセレクターを同じように応援するのか、分かってもらえるはずです。”

 

僕自身、ミックスするのは楽しみの一つとして活用しますが、楽曲やその場の雰囲気によってはミックスする事自体が御法度になる時も多々あるのです。元々、ラジオのトップ40をかける事がDJの仕事だった時代に、David Mancusoは初めて自らの音楽的テイストを頼りに選曲し、その場の雰囲気を作り上げる事でクラブ文化の礎を築いたのです。その場の皆が聴きなれた楽曲を繋ぎ合わせて踊らせるのも一つの方法論(仕事)ではあると思いますが、”音楽”や”音”そのものが大好きで、常に新しい音楽体験を求める僕達にはそんな方法論よりも大切な事が沢山あるのです。特にbrilliant cornersの様な音響に細心の注意を払っている箱だとその楽曲のポテンシャルがフルに発揮されるため、下手にミックスするよりはその楽曲の素晴らしさと音響をフルに体験した方が良かったりする場合が多々ある訳です。そんな環境に毎日居るDonnaにとって彼女のスタイルはごく自然な事で、おまけに彼女はbrilliant cornersで良くかかる楽曲はあえて買わず、自分自身の好みの音を常に追求し続けるストイックな姿勢のお陰でこの短い期間に一気に皆の注目を集める事になったのです。
 
いつも言ってる事ですが、僕にとっての良いDJの条件の一つはそのセットを聞いた時にそのDJの人柄や好みが分かるタイプ。ちゃんと”掘っている”DJはそのレコードが有名だとか値段が高いだとか以前に、その楽曲そのものの素晴らしさを理解して自分のストーリーを練り上げるのです。逆に誰かがかけて盛り上がった曲やクラシックスに頼り過ぎるDJはセット全体を聞いても散漫な場合が多く、最終的に心にグッとくる事は少ないんです(プロモばかりかけるDJも然り)。
 
ともあれ、そんな今話題のDonna leakeのフルセットはこちらでご堪能を。
 

 

ちなみに彼女の出演したNTSラジオはMixcloudで。
 
またもやオファーが殺到してる彼女、日本でのブッキングをご希望の方はまずは僕にご一報をw
 
若手のジャズDJが中々出てこないと嘆いてる日本の諸先輩方々。今ならお買い得ですよ!
 

Bless
K

 

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