re:discovered
Wax Poetics Japan
Galt MacDermot
ギャルト・マクダーモット(Kilmarock)1968
「Princess Gika」
ギャルトの『Woman Is Sweeter』のサントラに入っているこのミニ・シンフォニーは、めまいがするほど甘いヴァイオリンの音色、カーニヴァルから抜け出してきたようなオルガンのリフ、控え目だがファンキーなドラム、そのすべてがものすごい自己主張をしている。ギャルトは数え切れないほどサンプリングされているのにもかかわらず、最近のリイシュー・プロジェクトで少しは再発されたといえ、まだまだその作品のほとんどが手に入らない状態となっている。
Dyke & Blazers
ダイク・アンド・ブレイザーズ (Original Sound) 1969
「Let a Woman Be a Woman, Let a Man Be a Man」
バッファロー出身のアールストン・“ダイク”・クリスチャンはこのファンクの名曲を作るにあたって、唯一無二のドラマー、ジェームズ・ギャドソンを含むワッツ・103ストリート・リズム・バンドのメンバーに声をかけた。ダイクとバンドは、ダイクが1971年にフェニックスで射殺されるまで、あり得ないほど力強く、あからさまにグルーヴを押し出したファンクをオリジナル・サウンド・レコードで作り続けた。
Ernie K. Doe
アーニー・K・ドゥ (Janus) 1970
「Who Ever’s Thrilling You (Is Killing Me)」
確かに、愛らしくしゃがれた声のアーニー・Kは2001年に他界したかもしれない。また、彼の悪名高い「Mother-In–Law Lounge」は水に流されたかもしれない。しかし70年代前半にミーターズがバックバンドを務めた、アラン・トゥーサンのプロデュースのこの曲は絶対に消え去ることはないだろう。この曲はバック・グラウンドに聴こえるトゥーサン独特のハミングにミーターズの深いリズムが際立っている。
Don Covay
ドン・コヴェイ (Mercury) 1972
「The Overtime Man」
この曲では、コヴェイがあるほら吹きの女ったらしの不倫話をベティー・ライトの「Clean Up Woman」調に仕立てている。「Shaft」と「Sweetback 」と合わせたような、というのは少し言い過ぎかもしれないが、そう言わせてしまうような凝った言い回しと、力強いドラム・ブレイクには耳の肥えたリスナーも感心したことであろう。
Bobby Bland
ボビー・ブランド (Duke) 1972
「I’m So Tired」
ワックス・ポエティックス US版10号でアル・ベルとチャック・Dが、ルーファス・トーマスのヴォーカルとパフォーマンスのスタイルは19世紀後半のミンストレル・ショーに起源があると語っていた。この70年代前半の作品では、40年代後半にビール・ストリーターズのメンバーとして活躍したボビー・ブランドが、今も変わらない、ありのままのヴォーカル・スタイルとループする必要がないほど正確に繰り返されるファンク・リフを融合させている。
Africa
アフリカ (Ode)
『Music from “Lil Brown”』
「Widow」
おかしなことに、L.A.のR&Bの重鎮が自由で色褪せたアコースティック・ファンクを披露している『Music from “Lil Brown”』は、ルー・アドラーのプロデュースでオデ・レコードからショット契約でリリースされている。楽しげだが破壊的なナンバーの「Paint It Black」や「Light My Fire」の間に、アフリカの渾身のオリジナル曲がいくつか盛り込まれている。また、ピンポイントにこのバンドを表したカヴァー・アートもおもしろい。
Betty Wright
ベティー・ライト(Alston 4571) 1968
「He’s Bad Bad Bad」
ライトのデビューアルバムからのセカンド・シングル。アルストンの作曲コンビ、クラレンス “ブロウフライ” リードとウィリー・クラークがいたずらっぽく、3/4拍子の軽快なミラクルズのリフから、もっとこもった4/4拍子へ移らせる。この曲でのファンキーでリズミカルなキックはアルストンのトレードマークとなる。リードはメロディーや歌詞を盗用したとして非難されることになるが、彼の定番ソウル・ナンバーのアレンジの才能はこの曲から始まった。
Betty Wright
ベティー・ライト (Alston 3713) 1975
「My Baby Ain’t My Baby Anymore」
正当な評価を受けていなかったベティー・ライトはH.W.ケーシー作曲の「Where is the Love」でグラミー賞を取り、音楽業界でようやく評価(本当にこれが正当な評価かはわからないが)されることになる。しかし、クラレンス・リード、ベティー・ライトの黄金タッグによるB面の曲の方が明らかに名曲である。流行りのディスコ・ミュージックのまねはせず、徐々に盛り上がってくるグルーヴに、ミリー・ジャクソンばりの語りも入っている。この曲を聴けばベティーのアレンジャー、プロデューサー、ソング・ライターとしてのスキルを再確認できる。
Mulatu
ムラトゥ (Worthy) 1966
「I Faram Gami I Faram」
やっぱりこれはアフリカの音楽だよ。だけどラテンっぽく聴こえるのはモントゥーノ、シンコペーションを用いたピアノ伴奏のせいだ」とムラトゥはWax Poetics US版14号で語っていた。ムラトゥの音楽は、エチオピアとファンクの融合で有名だが、この曲は60年代のニューヨークで体感したラテン音楽の影響を受けたものだ。のんびりとした曲調に、ラテン、アフリカがユニークに共存している。
David Axelrod
デイヴィッド・アクセルロッド(RCA)1971
「And the Angel said unto them」
クリスマスはまだ終わってない! 『The Messiah』について知るまでは。ヘンデルの聖譚曲にデイヴィッド・アクセルロッドがソウルとグルーヴを吹き込む。2006年の冬に出たWax Poetics US版15号には、アルバムのタイトルが『Rock Interpretation of Handel’s Messiah』となっていたことに怒ったアクセルロッドがプロデューサーを追いかけまわすという記事が載っているのでお見逃しなく。
The Three D's
スリー・ディーズ (Capitol Records)
「Sinner Man」
60年代中盤、キャピトル・レコードのデイヴィッド・アクセルロッドは、ジャズ、R&B、ロック、ポップス、イージー・リスニング、またフォークソングと様々な楽曲を作ったが、そのどれもが素晴らしいものだった。大卒のスリー・ディーズは革新的なフォークソングを引っさげて、いろいろな大学を回った。悲しげで伝統的なフォークチューン「Sinner Man」はのちにニーナ・シモンによって世間に広く知られるようになり、また最近ではカニエ・ウエストのプロデュースによるタリブ・クウェリの曲「Get By」にも使われている。
Tuesday Weld
トゥーズデイ・ウェルド(Plaza Records)1962
「Are You the Boy」
プラザレコードは最高の音楽を作るためデイヴィッド・アクセルロッドを雇った。このモダンなガールズポップはB.H.バーナムが編曲した。シャイなトゥーズデイ・ウェルドの金切り声は、オルガンのメロディー、ピクシーズのようなギターの音、女性バックシンガーとのハーモニーによって構成されている。この曲を聴くと、1962年に戻りたくなるような、ならないような……
Dennis Linde
デニス・リンド (Elektra)1974
「Trapped in the Suburbs
リンドはエルヴィス(・プレスリー)の1972年のヒット曲「Burning Love」の作詞を手がけ、現在までカントリーのヒット曲の作詞を続けている。カントリーとソウルが融合したカテゴリーにおいて、リンドは自身のナッシュビル・バージョンに、ホルンやファンキーオルガン、クラビネットを組み込むのをいとわなかった。スクリプトを見てみよう:「そうだね、郊外で『Soul Train』を見るのは難しいよ…。僕は、白人ばかりの段差のある階層構造の家の芝生止まりだね」。ベン・フォールズはリンドを模倣している。
Clarence Reid
クラレンス・リード(Alston 4584)1970
「That’s How It Is」
著名なマイアミのバンドリーダー、ジェームズ・ナイトのファンキーでメチャクチャなギターによって美しく飾られたこの1970年代のB面は、通常ウィットフィールドやミッチェル、そしてトゥーサンのような、作曲家やプロデューサー、そしてミュージシャンの間の音楽的な結合レベルを誇示するものとなった。歌詞が“愛の形を変える力”という普遍的な魂の集まりを使う一方で、ディープなソウルながらもダンス・フロアで通用する強さのあるリードのアレンジメントは、明らかなマイアミのサウンドを特徴付けた。
Karen Young
カレン・ヤング (West End) 1978
「Hot Shot (Instrumental)」
先日、面白いことが起きた。我々はeBayで数枚の安っぽいレコードを買い、その出品者がそれらを発送する時に、カレン・ヤングの有名な12インチの作品を梱包材として使っていたのだ。ヒップホップの歴史を知る人なら誰でも、ヒップホップの黎明期にクラブや公園のようなところでかけられていたこのディスコ・ブレイクを知っているだろう。West Endに幸あれ! もちろん、我々はもっと状態の良いコピーを見てきてはいるけれど、今回は、我々が実際に買ったレコードよりも良いものだった。
Arthur Lyman
アーサー・ライマン (Hi-Fi) c. 1960
『Taboo Vol.2』
「Love Dance」
US版14号が出るまで人々はデヴィッド・アクセルロッドをアーサー・ライマンの『Taboo 2』と関連づけてはいなかった。『Taboo 2』はアクセルロッドがプロデュースを手掛けている。独特の雰囲気を持つバイブと、鳥の鳴き声が異国情緒を醸し、ラテン風の即興演奏とパーカッションによるレス・バクスターの「Love Dance」のカヴァーは今でも十分にプレイできる。これはオリジナルの首狩り族のジャケットだが、リリースしてすぐに火山が噴火しているジャケットに変更された。
Hard Water
ハードウォーター(Capitol)
「Monday」
US版14号でアクセルロッドの「Songs of Innocence」のギタリスト、ピート・ワイアントはアクセルロッド・プロデュースによるプレッシャーと呼ばれるCapitolレーベル所属のグループの一員だとレポートしたが、その時そのことを正確に確かめることができなかった。プレッシャーはアクセルロッドが手掛けたCapitol以外のプロジェクトであり、ワイアントは彼がCapitolでプロデュースを手掛けたハードウォーターというサイケ・ロックのグループのメンバーだった。彼の名がジャケットの裏にあるので、我々は気づくべきだった。そして彼の顔がこのジャケットに!
Lou Rawls
ルー・ロウズ (Capitol)
『Merry Christmas Ho! Ho! Ho!』
「Re:Discovered」がクリスマスを祝福する為に帰ってきた。ルー・ロウルズのクラシックスを取り上げよう。J.W.アレキサンダーの「Good Time Christmas」もファンキーなナンバーだが、このアレキサンダーと、かつてのパートナー、ベン・ラレーによる作曲の、ざらついたムーディーなモンスター・ソング「Christmas Will Really Be Christmas」はマストなトラックだ。
H. B. Barnum
H. B. バーナム
「Happiness」
プロデューサー、コンポーザー、アレンジャー、そしてアーティストとしてCapital Recordsで活躍する以前に、H. B. バーナムはRCA、Imperial、Eldoで自身の曲をレコーディングしていた。決して類い稀なるシンガーではないが、ここではベン・ラリーの手による見事なソウルの楽曲でバーナムの歌声を聴くことができる。違った人生であれば、この曲はオーティス・レディングのようなヒットになり得たかもしれない。我々はこのアクセルロッド・プロデュースによる傑作を暗闇から掘り出している。
Magical Shepard
マジカル・シェパード
「Basic Laws」
ジェームス・ガッドソンはWax Poetics US版14号の中で「私はディスコの楽曲をただ演奏しただけだよ。ジャック・デジョネット、アイアート、ハービー・ハンコックといった仲間のプレイヤー達と比べられるなんて恐れ多いよ」と言っているが、実際彼は、ただ謙虚なだけなのだ。レアなディスコ・シングル「New York City」は、その時代と空間を遥かに超え、世間に認知され世に出回っている。「Basic Laws」では、ガッドソンはとてもリラックスし、その時代の先をさまよい歩いているかのようだ。
Mulatu of Ethiopia
ムラトゥ・オブ・エチオピア
「Mulatu」「Kasalefkut-Hulu」
「Mulatu」のうねるようなサウンドを聞けば、何故このレコードがレコード・ハンティングの渇望の品であるかがすぐにわかるだろう。ラッキーなことに再発されているが、その理由はこのレコードがほとんど存在していないからだ。「Kasalefkut-Hulu」は必須のブレイク・トラックだが、その個性的なリズムを実際に創りだしているのはディストーションされワゥの効いたエレクトリック・ピアノだ。Wax Poetics US版14号のムラトゥ・オブ・エチオピアの記事を読んでみて欲しい。
Moorpark Intersection
ムーアパーク・インターセクション (Capitol P 2115)
「Yesterday Holds On」
デヴィッド・アクセルロッドが共同制作、プロデュースをしたソフト・サイケのシングルで、アクセルロッドが関わったものはどんなジャンルであろうが全て収集価値のあるものだということを再認識させてくれる。彼が同時期に手掛けたエレクトリック・プルーンズの作品とはあまり似てはいないが、Columbiaで彼が作曲プロデュースを手掛けた「Pride」の形跡を聴くことができ、ギターとピアノのブレイクダウンは「Songs of Experience」の雰囲気を思い起こさせる。
Juice
ジュース (Greedy Records)1976
「Catch a Groove」
Wax Poetics US版14号の中で、ジャジー・ジェイは70年代のニューヨークのレコード・ストア、例えばDownstairs Recordsのような所を思い出して言った。「段ボール一杯に詰まったGreedyレーベルの“Catch a Groove”を1枚1ドル程で売っているのを見つけたんだ。俺はまるでバカみたいに、それを1枚3ドルか4ドルで売ったんだ。1枚も残らず売ったよ」しかし、ジェイの寛大さがこのオールドスクール・ディスコ・ブレイクの1枚をビート・ゲームの中のクラシックスにしたのだ。






