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28 Grams

Artist : Wiz Khalifa

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 Complex.comが今年3月に企画したリック・ロスのベスト・アルバム・ランキングにおいて、『Deeper Than Rap』や『Teflon Don』といったオリジナル・アルバムを差し置いてフリーダウンロードのミックステープ『Rich Forever』が1位に選ばれていたのには驚かされたが、もしウィズ・カリファで同様の企画が実現した暁にはリック・ロス以上に過激な結果になるにちがいない。1位が『Kush & Orange Juice』、2位が『Taylor Allderdice』といった具合に、きっと上位はミックステープで占められるはず。ミックステープをうまく活用してヒップホップ・ゲームを勝ち上がってきたラッパーは大勢いるが、カリファの場合は充実した作品を供給し続けてきたのはもちろん、オリジナル・アルバム(メインストリーム)とミックステープ(ストリート)とで作風の使い分けを特に意識的に行なってきた印象が強く、自ずとコアなヒップホップ・リスナーの彼のミックステープに対する信頼度は非常に高いものになっている。

 そんなわけで、この2年ぶりの新作ミックステープも公開からわずか1ヵ月足らずですでに90万ダウンロードを突破する安定した人気ぶりを呈している。今回はその弛緩したアートワークからくるイメージ通り『Kush & Orange Juice』や『Taylor Allderdice』のような緊張感が希薄なうえ、(ここでわざわざ取り上げておいてこんなことを言うのも申し訳ないのだが)正直内容的にも過去作に見劣りする感があるのは否めないが、それでも聴くべき点は数多い。まず、カリファのプロダクション・パートナーであるIDラブスが精彩を欠いているぶん健闘しているのがテイラー・ギャングのリッキー・Pで、ブラザリー・ラヴ“I Don’t See Me In Your Eyes Anymore”使いのソウルフルな“Comb Over”、IDラブスのお株を奪うようなアトモスフェリックなビートが心地よい“Pure”や“Samo”など、実質的なMVPといえるすばらしい仕事を披露している。そのほか、ベース・ミュージック界隈でも人気の高い808マフィア、YGやフューチャーの新作でも活躍していたメトロ・ブーミンら注目の新進プロデューサーのトラックも軒並み高品質。ベイエリアのコズモが手掛けた“On a Plane”(ニュー・エディション“Can You Stand The Raine”ネタ)、同郷ピッツバーグのサップ制作の“The Last”(LAのチルウェイヴ系ユニット、ゴースト・ロフト“Seconds”の引用が光る)など、随所に配置されたレイドバックした曲も良いアクセントを生んでいる。“Something Special”ではサンダーキャットの客演があるが、こうしたコラボが年内リリース予定のニュー・アルバム『Blacc Hollywood』にどのような影響を及ぼすことになるのか、注目したい。

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