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36 Seasons

Artist : Ghostface Killah  | Label : Tommy Boy  | Release Date : 2014/12/9

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ウータン・クランの『A Better Tomorrow』の1週間後にリリースされたゴーストフェイス・キラーの新作『36 Seasons』は、去年の『12 Reasons to Die』同様に一貫したストーリーが展開するコンセプト・アルバムであり、ウータン随一のストーリーテラーであるゴーストの俊才が発揮されたシネマチックなアルバムになっている。
 
シネマチックという言葉を使用した理由は、“復讐”をテーマとした同作のあらすじがハリウッド・ライクだから、だけではない。映画のようなアプローチで制作されたからだ。まずこのアルバムを裏で監督していたのが、『12 Reasons to Die』の企画立案者でもあったボブ・ペリー(RZAとSoul Temple Recordsを主宰する人物)。彼が描いたビジョンを元に、ゴーストフェイスが歌詞を書き、物語が組み立てられていったという。 映画の主人公を演じる俳優のように、ゴーストは与えられた役に自分らしさを投影し、クライム・アクション映画をラップ・フォーマットに落とし込んだようなヴィヴィッドな物語を展開している。なお、ギャングスタ・ストーリーテリングのパイオニア、クールGラップや、リリシストとして名高いAZが複数曲、ファラオ・モンチが1曲に登場しており、それぞれ物語の中の重要な役を演じている点も見逃せない。
 
そしてこの“映画”のサウンドトラックを手がけたのは、ブルックリンのソウル・バンド、ザ・レヴェレーションズ。70年代のソウルやファンクのエッセンスと90年代のヒップホップ・マナーを融合させた、時にサスペンスフルでダーク、時にメランコリックなサウンドスケープで、物語の紆余曲折に彩りを添えている。なお、全曲にゴーストのラップが入っているわけではなく、レヴェレーションズのメンバーのみや、Blue Note所属のシンガー、キャンデス・スプリングスがヴォーカルを担当したソウルフルな楽曲も合間に挿入され、緩急がつけられている。
 
物語は、ゴーストが演じるトニー・スタークスが9年間(36の四季)の服役を終え、地元スタテン・アイランドに戻った所から始まる。彼は街が荒廃し、ドラッグディーラーたちが支配していること、そして彼の彼女がドラッグディーラーのボスのものになっていることを知る。ドラッグディーラーたちを殺し、街を一掃しようとするが、爆発に巻き込まれ、顔に重傷を追う。Dr.Xなるマッドサイエンティストが手がけた特別なガスマスクを被り、ヒーロー“GFK”として生まれ変わった彼は、仲間を殺した敵や、腐敗した警察に立ち向かう…といった、ダークヒーローもののアメコミ仕立て。アルバムにコミックが同封されているのも納得がいく。
 
ウータン・クランの新作が少々爽やかでポジティブすぎると感じたリスナーには、この土臭いダーク・ファンタジー、『36 Seasons』をおススメしたい。

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