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A Better Tomorrow

Artist : Wu-Tang Clan  | Label : Warner Bros.  | Release Date : 2014/12/3

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 ワーナー・ブラザーズ移籍第一弾、2007年の『8 Diagrams』以来7年ぶりの新作。本来であれば1993年のデビュー・アルバム『Enter The Wu-Tang (36 Chambers)』の20周年を祝福する作品として2013年秋にリリースされるはずだったが、メンバーの足並みが揃わなかったこともあってここまで延びてしまった。急に発売が決まったことでプロモーションが行き届いていないのだろうか、ひさびさのアルバムであるにも関わらずチャート・アクションは鈍く(全米チャート最高29位)、こんなことならデビュー20周年のほかにもドレイクのトリビュート・ソング“Wu-Tang Forever”のリリースなど派手なトピックが豊富だった2013年の秋に出していれば、という若干の歯痒さもあるにはあるが、その一方でいまこのタイミングで出てこそ大きな意味を持つアルバム、という気もしている。
 
 それはウータン作品にしてはちょっとさわやかなタッチのジャケットやポジティヴなエナジーに漲るアルバム・タイトルからもうかがえると思うが、今回の新作はこれまでになく社会的メッセージ性が強く、昨今の白人警官の相次ぐ蛮行に端を発するアメリカの人種問題にも見事に呼応する内容になっている。なかでもハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツ“Wake Up Everbody”を大胆にサンプリングしたタイトル曲“A Better Tomorrow”からマーティン・ルーサー・キングJr.“I have a dream”のスピーチを引用した“Never Let Go”を経て、オージェイズ“Family Reunion”ネタのウー賛歌“Wu-Tang Reunion”へと至る大団円のニュー・ソウル/フィリー・ソウル的アプローチは実に感動的で、これはもっと評価されてもいいはず。音楽的な成果も多く、デビュー以来スタックスやハイへの憧憬を衒いなく打ち出してきたRZAはここでついにメンフィスの聖地ロイヤル・スタジオでのレコーディングを敢行。サザン・ソウルから強いインスピレーションを得た自身のシグネチャー・サウンドを、チャールズ・ホッジスやレスター・スネル、ラニー・マクミランといった伝説のミュージシャンの実際の演奏によって構築することに成功している。例によって随所ではマニアックなカンフー映画のダイアローグを挟み込むなど体裁はあくまで従来通りのウータン作品だが、詞も音も奥行きはいつにも増して深い。

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