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A Couple Friends

Artist : Kindred The Family Soul  | Label : Shanachie  | Release Date : 2014/6/10

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 2003年にヒドゥン・ビーチから発表したデビュー作『Surrender To Love』は、2000年代前半の新しいフィラデルフィアのムーヴメント(ネオ・フィリー)を体現したようなアルバムだった。男臭くタフな声で歌い込むファティン・ダンツラーと母性溢れるふくよかな声で寄り添うように歌うエイジャ・グレイドンからなる夫婦デュオ。ムーヴメントが去った後も地元フィリーに密着し、子作りと並行しながらコンスタントに作品を発表してきた彼らは、市井に暮らす者の目線で日常生活や人間愛をソウルフルかつ誠実に歌い上げ、ブラック・コミュニティに住まう人たちの心の拠り所のような存在となってきた。そうして彼ら自身も自分たちが求められていることを理解しているようで、ヒドゥン・ビーチから3枚、パーパス/シャナキーから1枚と、これまで出してきた4枚のスタジオ・アルバムでは、仲睦まじい夫婦関係同様、音楽的イメージをキープしてきた。
 
 デビュー10周年記念のライヴ盤を挿んで発表した今回の新作(3年ぶりのスタジオ録音作)もファンの期待に全面的に応えたアルバム。プロデュース/演奏も旧知のヴィダル・デイヴィスやスティーヴ・マッキーらフィリーの仲間で、ご近所感覚で作り上げたといった印象だ。これまでとの違いといえば、制作中にエイジャが初めて妊娠中じゃなかったということ。夫婦の間には現在6人の子供がいるが、上の子供3人はすっかり大きくなり、今回、ラップのインタールードを披露していたりもする。
 
 アイザック・ヘイズ・ムーヴメントの“Southern Breeze”を引用したファンク調のミッド“Get It,Got It”で幕を開ける本作は、彼らいわく原点回帰作でもあるという。ジェイムズ・ポイザーが制作に絡んだ“Call Me Crazy”も出世曲“Far Away”のアップデート版といった趣だ。先行曲“Everybody’s Hustling”も(ネオ・)フィリーらしいソフトでエレガントなミディアムで、これはステッパーズの文脈で愛されてきた彼ららしいナンバーとも言えそうだ。この路線では70年代後期フィリー・ソウル風のミッド・ダンサー“Never Loved You More”も評判を呼びそうだし、ヒドゥン・ビーチの元同僚ジェフ・ブラッドショウのトロンボーンを含めたホーン&ストリングスがゴージャスな“Lovin’The Night”も70年代フィリー風のアップで、彼らのファンの中心となるマチュアなリスナーを惹きつけてやまない。一方、DJアクティヴがスクラッチを刻み、チル・ムーディーがラップを挿んだ“Here We Go”では地元仲間とともにヒップホップ以降のソウル表現をしてみせる。
 
 だが、彼らにとって大きな意味を持つのは、盟友アンソニー・ベルが制作したタイトル曲だろう。ゴスペルのルーツが滲むピアノ・バラードで、ピアノを弾いているのは夫婦デュオの先輩にあたるアシュフォード&シンプソンのヴァレリー・シンプソン。昨年他界したニコラス・アシュフォードへの追悼も込めたのだろうこの曲に、アシュフォード&シンプソンを継ぐ存在にならんとする決意のようなものを感じずにはいられない。スウィートなカップルは現代最強のR&Bデュオでもあることを改めて証明した一枚だ。

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