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Bestiary

Artist : Hail Mary Mallon  | Label : Rhymesayers  | Release Date : 2014/11/17

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エイソップ・ロックとロブ・ソニックという、東海岸アンダーグラウンド・ヒップホップ・シーンで独自の道を築いてきた2人のMCからなるユニット、ヘイル・メアリー・マロンの2ndアルバムとなる『Bestiary』。2人ともエルPが主宰していた伝説のインディー・ラップ・レーベル、Definitive Juxの出身であり、デュオとしては、エルPとキラー・マイクの意外な組み合わせが功を成したラン・ザ・ジュエルズよりは、メソッドマンとレッドマンのような、似た者同士の相性の良さを見せている。
 
この2人の最大の特徴は、その豊富なボキャブラリーから紡がれる独創的な言い回しや比喩表現、そしてウィットに富んだ抽象的なリリックである。そして声質やフロウも個性豊かであり、少し気だるそうに発音しながらも、がっちりと韻を踏むロブにたいして、エイソップはより柔軟に流れるようなラップで畳みかける。彼らのユーモアも随所で光っており、金持ちのライフスタイルを茶化した「Whales」では、「Money, money, money, money, money motherfucker」と連呼するだけのサビにニヤリとさせられ、曲間のスキットでは、お気に入りのボーリング場の閉鎖を食い止めるために2人がチャリティー・コンサートを開催するというヘンテコなストーリーが展開しており、口元が緩まずにはいられない。
 
サウンド面では、プロデュースを全曲2人で手がけているため、世界観には統一感があり、2人のラップとの相性も抜群。ファンキーで怪しいベースラインが印象的な「Used Cars」、深く広がるシンセ・ベースの「The Soup」、脈打つ躍動的なベースラインの「Picture Day」など、基本的にベースが主役であり、それをドラムブレイクが支え、サビでエレクトロニックなシンセ・メロディーが彩りを添える、といったパターンのトラックが目立つ。DJビッグ・ウィズのスクラッチも豊富に盛り込まれ、ヒップホップの伝統を踏襲しているのも、彼らのヒップホップ愛の現れのようで好印象だ。
 
その反面、目新しさには欠け、前述のラン・ザ・ジュエルズほどの派手さや勢いがないのは事実だが、アラフォーのオジさんヒップホッパーらしい説得力と深みには魅力を感じる。そして、彼らの言葉にも、音にも、きっと20代から何ら変わらないのであろう、若きスピリットが滲み出ている。子供の心を持った大人たちが、冗談を言い合いながら、マイペースに、心の赴くままに自分たちの作りたいヒップホップを作っている…そんな印象を受けた。

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