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Dream a Garden

Artist : Jam City  | Label : Night Slugs / Beat Records  | Release Date : 2015/3/25

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2012年にリリースされたジャム・シティことジャック・レイサムの『Classical Curves』は、UKガラージが進化した究極の形を見せてくれた。インダストリアルなエレクトロ・ビートを用い、贅肉を削ぎ落として美しくシェイプすると共に、80s調のレトロでドリーミーなシンセを用いたそのサウンドは、この2010年代においてとてもスタイリッシュな輝きを放っていた。この作品によって、ジャム・シティが所属するナイト・スラッグスの知名度も一気に上昇し、主宰者であるボク・ボクやリーヴァイス1990はじめ、兄弟レーベルのフェイド・トゥ・マインドを主宰するキングダム、そこから作品をリリースするシンガーのケレラなどが、UKベース・ミュージック・シーンの注目を一手に担うことになる。また、この年はカインドネスことアダム・ベインブリッジが『World, You Need a Change of Mind』でブレイクしたが、彼とジャック・レイサムはかつてルームメイトだった間柄。そのカインドネスが素晴らしい才能の持ち主と絶賛するジャム・シティのセカンド・アルバムがリリースされた。

『Classical Curves』にはメイン・アトラクションズをフィーチャーした作品もあったが、基本的にインスト中心のダンス・アルバムだった。しかし、本作では自身のヴォーカルをフィーチャーした作品が目に付く。また、エレクトロなビートの骨格はそのまま継承しつつも、必ずしも強靭なダンス・ビートに固執することなく、むしろメロウでスローモーな質感がそれを上回ることが多い。「Unhappy」「Today」「Crisis」がその代表で、インディ・ロックからオルタナR&Bに通じるこのムードは、盟友カインドネスが昨年リリースした『Otherness』と共振するものだ。「Crisis」「Black Friday」でのギターの音色などは一種のバレアリックといえるもので、「Damage」「Proud」などほとんどノンビートのチルアウトな作品もある。こうしてみると、非常にドリーミーな歌詞やメッセージを持つ作品なのかと思いきや、逆にシニカルに現代社会の問題点をついたり、英国社会の暗部を憂いたものとなっている。「Crisis」は2011年にイギリスで起こった暴動に触発されたもので、英国に根強く残る階級社会へ対する反発と、それに対して人々が起こした行為への共感を歌っている。「Unhappy」には消費社会、物質文明に対する問題提起がある。イギリスの音楽は伝統的に社会状況へのアンチテーゼとして存在しており、パンクはその典型的な例である。社会が暗いときこそ、優れた音楽が生れてきた歴史がある。ジャム・シティもそうした英国音楽の伝統を受け継いでいるといえよう。

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