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Emma Jean

Artist : Lee Fields  | Label : Truth & Soul  | Release Date : 2014/5/31

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旧譜なのか新譜なのか? ヴェテランなのか新人なのか? DaptoneやStones Throw、Truth & Soulなどから登場するレトロ・ソウル/ファンク的なアルバムを聴いていると、何が何だかわからなくてしまうことがある。“旧譜のような新譜”をたて続けに出してきたこのリー・フィールズも、パッと聴いた感じでは、リリースされた作品が旧録なのか新録なのかわからない。レア盤としてお馴染みのファースト・アルバム『Let’s Talk It Over』(79年)とTruth & Soulからリリースされている近作を聴き比べてみても、前者での歌声が少々若々しいという程度だ。ただ、リーがユニークなのは、過去の作品が当時注目されなかったぶん、懐古趣味的な再評価ではなく、ヒップホップ的なディグ感覚によって新しい音として評価され、ディープ・ファンクのブームに後押しされる形で新作を出し、自動的に現在のシーンにリンクしてしまったということ。チトリン・サーキットで冴えない日々を送っていたヴェテラン・シンガーは、いつの間にか今のモードを伝えるヒップな存在となっていたのだ。

69年のデビュー曲がジェイムズ・ブラウン“Bewildered”のカヴァーだったこともあって、JBフォロワーとして語られることも多いリー・フィールズ。ファンク調の曲におけるシャウトやバラードにおける一瞬しゃくりあげるような歌い方などは、確かにJB風ではある。ただ、ボビー・ウーマックのように枯れたムードを放ち、パーシー・スレッジのようにエモーションをたぎらせながら歌い上げてきた彼の歌唱スタイルを知る人なら、単にJBフォロワーと語られるだけでは納得がいかないだろう。それでも、2年ぶりの新作となる『Emma Jean』の冒頭を飾る“Just Can’t Win”を聴けば、その譬えから逃れられないことも痛感してしまうのだが。

Truth & Soulのレーベル・ロゴが刻まれたアルバムとしては3枚目となる本作も、60年代風サウンドの再現に長けたエクスプレッションズを従えての録音。ロウなソウル/ファンクを激情迸らせながら一心不乱に歌っていくリーのスタイルも変わりない。が、あえて違いを挙げるなら、スウィート〜モダン・ソウル的なアプローチを幾分控え、サザン・ソウル的なディープネスをより強く押し出してソリッドなリズム・ナンバーやブルージーな3連のバラードを歌い上げているという点だろうか。ディープ・サウスの湿地帯に入り込んでいくようなJ.J.ケイル曲のカヴァー“Magnolia”、ジャングルの奥地に迷い込んだような“In The Woods”といったアーシーなナンバーは新境地と言えるかもしれない。それにしても、この苦みばしったヴォーカルはどうだろう。深くシワの刻まれた歌唱は、気安くレトロを気取る若手には出せない説得力がある。特に本作の気迫と重厚感は群を抜く。俺は昔からずっとやり続けていたんだぜ!という声が聞こえてきそうな、ビシッと筋の通った快作。Truth & Soulの息がかかったアロー・ブラックの前作や、同レーベルから誕生したレディ(ニコル・レイとテリー・ウォーカーによる女性デュオ)といった若手の活躍も刺激になったのか、リー・フィールズのソウルは強度を増し、さらなる高みへ到達しつつあるようだ。

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