jeff-bradshaw-and-friends-home-cover

Home: One Special Night at the Kimmel Center

Artist : Jeff Bradshaw & Friends  | Label : Shanachie  | Release Date : 2015/3/31

Purchase

Tower
HMV

フィラデルフィア産のネオ・ソウル、いわゆるネオ・フィリーのサウンドに芳醇な響きを加えた管弦においてストリングスのラリー・ゴールドと並ぶキーパーソンとなったのが、このジェフ・ブラッドショウだ。フレッド・ウェズリーを師と仰ぐR&Bトロンボーン奏者で、特にア・タッチ・オブ・ジャズ(ATOJ)のセッションで活躍した彼は、ジル・スコットやマイケル・ジャクソンなどの楽曲にモダンでレイドバックしたムードを運び込んだ。初リーダー作は2003年にヒドゥン・ビーチから出した『Bone Deep』。フィリーを中心としたネオ・ソウル系シンガーをゲストに招いた内容は、今ならロバート・グラスパー・エクスペリメントの『Black Radio』シリーズと同列で語られるようなものでもあったわけだが、2012年、長いブランクの後にセカンド『Bone Appetit』を発表したのは、世のネオ・ソウル再評価的な気分を察知したからなのかもしれない。
 
そんなジェフがシャナキーに移籍して放つ新作は地元フィラデルフィアでのライヴ実況盤で、グラスパーがエグゼクティヴ・プロデューサーを務めている。会場は、フィラデルフィア管弦楽団のホームとして知られるキメル・センター(惜しくも解体されることになったフィラデルフィア・インターナショナル・レコーズ本社の向かいにある)。そんな格調高いホールでライヴをやるあたりに地元での支持の高さがうかがえるが、参加ミュージシャンも豪華だ。ラヒーム・ディヴォーンの最新作に“イラデルフ・ホーンズ”としてジェフとともに参加したトランペットのマット・キャッピーをはじめ、ピアノのジュニアス・バーヴァイン、ベースでバンマスも務めるサディアス・トリベットといった旧知の仲間に、トリーナ・ブラッサードやラーレイ・ヴァルヴァーディといったラサーン・パターソン人脈のバック・コーラス、ストリングス隊を加えたバンドは20名近くの大編成。縁の深いゲストたちと繰り広げるのはジェフ自身のナンバーやソウル~ファンク名曲のカヴァーで、マーシャ・アンブロウジアスやビラルが熱演する一方、“N.O.Groove”におけるトロンボーン・ショーティとのトロンボーン対決のような商売道具の主役感を強調するパートも用意されている。
 
キム・バレルがアドリブを交えながら緩急自在に歌い上げるミュージック・ソウルチャイルドの“Love”(トリニティ5:7のゴスペル版“Lord”を意識?)や本家のブラックソートを招いたザ・ルーツ“Break You Off”は、ネオ・フィリー・シーンを築き上げた自身や地元仲間に対するセルフ・オマージュか。また、身内すぎて(?)ゲスト扱いになっていないVことヴァルヴィン・ローンが伸びやかに歌う冒頭のボビー・コールドウェル“Open Your Eyes”はドゥエレやジョン・レジェンドよろしくコモン“The Light”(でのネタ引用)を意識したソウルクエリアンズ・トリビュートという気がしなくもないが、いずれにしても全編を通して自身の立脚点を示すようなショウになっているのが興味深い。後半はウィル・ダウニング、テイク6(前半でデバージ“All This Love”のカヴァーも歌っている)、ケニー・ラティモア、ナジーとの“スムーズ・ジャズ的な”共演を経て、クワイア風のコーラスがサビを歌うメロウかつプログレッシヴなウォー“The World Is A Ghetto”のカヴァーで大団円を迎える。唯一のスタジオ録音曲“All Time Love”はライヴ序盤にも登場するグラスパー参加(ライヴ版ではピアノ、スタジオ版ではフェンダー・ローズを弾く)の新曲。エリック・ロバーソンとトゥイートがまろやかな声で歌うこれは2000年代初頭のATOJサウンドを思い起こさせるネオ・フィリー系のミディアムで、ジェフの出自を再認識させるかのようだ。R&Bでは主役になりにくいトロンボーンだが、この人にしか出せない音色があるのだと、本作は改めて気づかせてくれる。

Reviewed by

Play on youtube

Share this Article

Like
Tweet
Share
コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>