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I Am Calvin

Artist : Calvin Richardson  | Label : Jordan House  | Release Date : 2014/9/30

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プリンス・オブ・ソウル。この称号がどのくらい浸透しているのかわからないが、その名に恥じないシンガーであることは確かだろう。K-Ci &ジョジョのヘイリー兄弟とは地元の友人どうしで、99年にソロ・デビュー作を出して以降、サム・クック節を真似たり、3年近くを過ごしたシャナキーではボビー・ウーマックのカヴァー集もリリースしていたカルヴァン・リチャードソンは、現行シーンの中でサザン・ソウル的ディープネスを表現する歌い手としてR&Bリスナーの懐古趣味を刺激してきた男である。ただ、ソロの前に組んでいたアンダカヴァからだと20年近くの活動歴を誇るにもかかわらず、実力ほどのセールスや名声を得られなかったのが口惜しい。そんな不運のシンガーを俺の手で救おうと名乗り出たのがエリック・ベネイ。彼が創設したレーベル=ジョーダン・ハウスにゴアペレとともに迎えられたカルヴァンは、心機一転とでも解釈できそうなアルバム・タイトルを冠したこの4年ぶりとなる新作で、水を得た魚のようにソウルフルな喉を滑らかに転がしているのだ。
 
カルヴァンのクルーナー・ヴォイスに艶を与えたプロデューサー陣は、エリック・ベネイと彼の音楽ブレーンであるデモンテ・ポージー、およびカルヴァンと同じくアンジー・ストーンの舎弟だったジョナサン・リッチモンド。マーヴィン・ゲイ“Sexual Healing”の黄金グルーヴをなぞったようなエレガンス漂う“We Gon’ Love Tonite”、スティーヴィ・ワンダー風メロウネスを打ち出した“Hearsay”、ミッド・ダンサーの“What Would I Do”などは完全にベネイ&ポージーの流儀に則ったもので、この過去最高とも言えるアーバンなソウル・スタイリストぶりはデバージ“All This Love”のカヴァーにも顕著だろう。一方で、ジュディス・ヒルらをバックに従えて歌った“Dark Side Of Love”やボビー・ブランドなどの名唱で知られるブルック・ベントン作の“I’ll Take Care Of You”ではカルヴァンの土臭くビターな歌声が古式ゆかしいリズム&ブルース調のサウンドで出迎えられ、都会的洗練の中で彼のサザン・ソウルマンぶりが浮き彫りとなる。ソウル・ミュージックに対する一途さ、時代やシーンに媚びず己を貫く意志の強さと衒いのなさ、そして上質な曲と歌。嫌いになる理由は、どこにも見当たらない。

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