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JHUD

Artist : Jennifer Hudson  | Label : RCA  | Release Date : 2014/9/23

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ジェニファー・ハドソンは誰もが認める歌唱力の持ち主だ。ただ、「アメリカン・アイドル(シーズン3)」でファンテイジアらと競っていた頃から“歌いすぎる”ところもあって、過去2枚のアルバムでも、厳しい言い方をすれば、その過剰なまでに歌い上げる唱法が時にトゥーマッチに感じられてしまうことがあった。しかし、だからこそ映画版『ドリームガールズ』(2006年)のエフィ役が務まったとも言えるわけで、つまり活かし方次第ということなのだろう。
 
では、彼女の愛称(JHUD)をタイトルに冠した3年ぶりのアルバムはどうか。先に結論を言ってしまうと、時に歌いすぎるジェニファーのヴォーカルを見事に活かしている。本作の第一弾シングルとなったT.I.客演の“I Can’t Describe(The Way I Feel)”が、ここ最近のファレル・ウィリアムズらしいディスコ/ブギー調のダンス・ナンバーでアルバムの方向性を仄めかしていたが、まさしく本作はそのダンス路線を軸とした内容になっているのだ。同じくファレルの制作でイギー・アゼリアを迎えた四つ打ちスタイルの“He Ain’t Going Nowhere”やジェニファーを自分たちのデビュー作『Sirens』に招いたUKのハウス系デュオ=ゴーゴン・シティの手による“I Still Love You”もそうだし、何と言っても、同郷シカゴのハウス・レジェンドであるテリー・ハンターの制作でR・ケリーをゲストに迎えた“It’s Your World”は今回のアプローチを象徴するようシカゴアン三つ巴のディスコ・ハウスとくる(イントロがロイ・エアーズ“Running Away”のオマージュ風なのも痛快)。ここでのジェニファーは、ロリータ・ハロウェイやジョセリン・ブラウン、ジャッキー・ムーアといったゴスペルをバックグラウンドに持つ女性シンガーが、70年代後半あたりに持ち前のパワー・ヴォイスで真正面からディスコに向き合った時のような迫力や生命力に満ち溢れており、そうでありながら愛らしくもある姿にはイヴリン“シャンペーン”キングあたりと重ね合わせてしまいたくなる。
 
もっとも、全曲がそうしたダンス・ナンバーではなく、ティンバランドが制作した“Walk It Out”はオーセンティックなミッドR&Bだし、今年“Beautiful”のヒットで一躍時の人となったマリ・ミュージックがプロデュースした“Moan”は亡き母を思い出しながら悲しみを乗り越えていくという(やはりこれも彼女のチャーチ・ルーツを匂わせる)バラードで、流れに緩急をつけている。いずれにしてもバッサリと髪を切った今のジェニファーらしい思い切りの良さが清々しい快作なのだが、ディスコ/ブギーのブームがオーヴァーグラウンドに到達し、ハウスにも接近し始めているメインストリームR&Bの今後を示唆するような本作は、世間で思われている以上に重要なアルバムなのではないかと自分は考えている。

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