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Joined Ends

Artist : Dorian Concept  | Label : Ninja Tune  | Release Date : 2014/10/20

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今年の下半期は、エイフェックス・ツインの13年ぶりの新作『Syro』を筆頭に、フライング・ロータスがジャズに接近した『You’re Dead』、デイダラスのブレインフィーダーからの初めてのアルバム『The Light Bridge』など、エレクトロニック・ミュージック・アーティストの話題作が目白押し。そして、彼らに比べればキャリアは浅く、大きな名声を得ているわけではないが、ドリアン・コンセプトの『Joined Ends』も極めて重要な作品だ。
 
ドリアン・コンセプトことオリヴァー・トーマス・ジョンソンは、オーストリアのウィーン出身。音楽の都でクラシックとジャズのピアノ教育を受ける一方、10代はアブストラクト・ヒップホップやトリップホップの洗礼を受け、地元のヒーローのクルーダー&ドーフマイスターなどに影響される。そうしたバックボーンからオリジナリティ溢れる音楽を育み、即興性を持つエレクトロニック・ミュージックを作り出していく。キンドレド・スピリッツから『When Planets Explode』を発表し、一躍新世代のエレクトロニック・アーティストとして世界中に名を広げたのは今から5年前。LAのビート・シーンに呼応するトラック・メイカーとして注目されると共に、マイクロコルグやエイブルトン・ライヴを縦横に使いこなす能力が高く評価され、フライング・ロータスのライヴ・バンドのキーボード奏者に抜擢されたほか、映画音楽をテーマにシネマティック・オーケストラとコラボした『In Motion』への参加、ロンドン・メトロポリタン交響楽団との共演も果たしている。
 
『Joined Ends』は『When Planets Explode』以来のセカンド・アルバムとなる。前作はメタリックでノイジーなグリッチ・ホップにアヴァンギャルドなジャズの要素を融合し、フライローの『Los Angels』に繋がるカオティックな作品だった。全体にコズミック感覚が漂っていたが、今回はそれとはまた異なる様相を呈している。ミニマルな「The Sky Opposite」に始まるが、そこに見られる現代音楽はじめ、クラシックや教会音楽からの影響が今までになく感じられるのが特徴的だ。グロッケンやチャイム、ストリングス、そして讃美歌風ともソフト・ロック調とも何とも形容しがたいコーラスを配した「Ann River, MN」や「Clap Track 4」がその代表で、そこには感傷的な優美さが宿る。本作を一言で言うなら、美しいアルバムなのだ。そうしたヨーロッパ的な美学に、ビート・サイエンティストならではのリズム・アプローチを取り入れたのが「The Few」で、「Draft Culture」や「Trophies」などブロークンビーツ調の作品や、フローティング・ポインツあたりを想起させる「11.04.2012」もある。一方、ビートレスな前半から6拍子へ展開する「Tried (Now Tired)」、室内楽風の「Nest Nest」もあるといった具合に、ダンス・ビートだけでない幅広いリズムが取り入れられている点も特筆すべきで、そうした成果がアンビエント・テクノとワルツが出会ったような「Mint」だ。エレクトロニック・ミュージックの新しいページを更新すると共に、自身の芸術性を研ぎ澄ませたアルバムと言えるのではないだろうか。

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