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Love Apparatus

Artist : Jesse Boykins III  | Label : Octave  | Release Date : 2014/9/17

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エレクトロニックな音楽性を取り入れるR&Bシンガーは増える傾向にあり、ジェシー・ボイキンス三世もまた、“フューチャー・ソウル”といったフレーズが似合う作風のシンガー/ソングライターである。2008年にリリースした1stフルアルバム『The Beauty Created』は、エレクトロニック寄りな楽曲も含まれていたものの、同作はどちらかというとシェイカーやギターの音色などが印象的なジャジーなアルバムであり、本人は嫌がったようだが「ネオソウル」のレッテルが貼られていた。(しかしロバート・グラスパーやホセ・ジャームズが卒業した、ニューヨークのニュースクール大学に通っていたことや、ビラルの元で学んでいたことを考えると、ネオソウル・ムーヴメントの系譜に属するアーティストであると言って間違いなさそうだ。)その反動か、2011年にはイギリスのエレクトロニック・プロデューサー、ゴールド・パンダのトラックを活用したEP『Way Of A Wayfarer』で、エレクトロニックな音像と自身の声の相性の良さを証明し、2012年にはDJ/プロデューサー/MCのメローXとのコラボ・アルバムを発表し、ひとつのサウンド、スタイル、ジャンル、時代に囚われないアーティストであることを明白にした。
 
2014年の4月にデジタル配信でリリースされ、9月に国内盤のCDがボーナストラック付きで発売された、彼の2ndソロアルバムにあたる『Love Apparatus』は、Nina Tuneなどからのリリースで知られるプロデューサー、マシーンドラムが大半の楽曲を手がけており、ほとんど2人のコラボ・アルバムと言える。2人の共同制作は、2009年ごろからスタートしていたらしく、同作の収録曲の多くは4、5年前にすでに出来上がっていたと彼は語っている。その後ブラッシュアップされ、ミックスに長い時間がかけられ、ようやくリリースされたわけだが、それはつまりこのアルバムは、時間が経過したあとでも2人が発表したいと思う程、時代の潮流などとは関係ない普遍性のある楽曲が集まっている作品、と捉えることもできる。
 
マシーンドラムはダブステップ、ジャングル、ジュークといったスタイルの作品で知られるが、同作では神秘的でエモーショナルなスローテンポのトラックが多く、ジェシー・ボイキンス三世の繊細な歌声と相性良く溶け合っている。ファルセットを多用するジェシーのヴォーカルは、ディアンジェロやビラル、マーヴィン・ゲイなどを彷彿とさせ、恋愛や欲情に関する歌詞が多いのも相まってとても官能的だが、彼のセクシュアリティへのアプローチはスピリチュアルで詩的であり、品がある。それはサウンド面でも言えることであり、スローなグルーヴでゆったりと始まるオープナー「GreyScale」や、「Create Beauty」、ギターとシンセ・メロディが交差する「I Wish」、深遠なバラード「4 U 2 B Free」、ラッパーのフォンテが参加した「Matter Of The Heart」、アンビエントな「Heavenly Eyes」など、じわじわと上品に心に浸透していく曲が多い。メロウなブギー調の「B4 The Night Is Thru」は数年前からシングルとして公開されていた曲だが、一目惚れした女性に夜が終わってしまう前に声をかけようと葛藤する、奥手な男性の気持ちを歌った、朝方のクラブで抜群な効果を発揮しそうなミディアムダンサーであり、同作のハイライトのひとつ。ダブステップ的なリズムの「Live In Me」、ハウス調の「The Wonder Years」、や「Plain」といった、比較的アップテンポなトラックも情緒的であり、感情を喚起させる繊細さを持ち合わせている。
 
大きなクラップの間をシンセやベース、トランペットが浮遊する「Show Me Who You Are」はスペーシーで壮大な曲であり、聴くたびに最初のキックから引き込まれてしまう魅力的な曲だが、LAの注目レーベルSoulection所属の日本人プロデューサー、starRoによるビートダウン風のリミックスも素晴らしく、こちらがボーナストラックとして収録されている国内盤をゲットすることをおススメしたい。

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