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Love Can Prevail

Artist : Electric Wire Hustle  | Label : Wonderful Noise  | Release Date : 2014/10/1

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クエストラブ、Jディラ、ジェームズ・ポイザーらソウルクエリアンズがプロデュースした、コモンの2002年のアルバム『Electric Circus』は、それまでの彼の方向性から大幅に逸脱した多様な音楽性で賛否両論を招き、コモンの作品群の中で今でも異彩を放っている。中でも、 「Electric Wire Hustle Flower」という曲は、メタルバンドP.O.D.のフロントマン、ソニー・サンドバルをフィーチャーしており、ヒップホップ、ロックやエレクトロニック・ミュージックの要素を盛り込んだ実験的な1曲であった。 この曲名から名前を引用したことは明らかである、ニュージーランド出身のグループ、エレクトリック・ワイヤー・ハッスルは、ソウルクエリアンズが90年代後半から2000年代前半にかけてやっていた実験的なソウル・ミュージックを、彼らなりの感覚で、現代に引き継ごうとしているデュオのようだ。
 
元々はヴォーカル/ギターのマラTK、キーボード/ベースのデヴィッド“タイニン”ライト、ドラムのマイエレ・マンザンザからなるトリオであったが、2013年にマイエレが脱退し、現在は2人組となっている。2009年にWonderful NoiseからEPをリリースしたことをきっかけに、ヨーロッパを中心に注目されるようになり、2010年にBBEから1stアルバムを発表。その後はザ・ルーツ主催のフェスROOTS PICNICに出演し、多数の大物アーティストとの共演を果たした彼らだが、そんな彼らの4年ぶりの2ndアルバム『Love Can Prevail』が、USではクエストラブ主宰のokayplayerから、日本ではWonderful Noiseからリリースされた。前作はシンセやRhodesのメロディーにヒップホップ・リズムという、サー・ラーや、以前のワジードのようなエレクトリック・ネオ・ソウル〜フューチャー・ソウル感が強い、まさにソウルクエリアンズの系譜にある作風であったのに比べ、今作では大幅に成長しており、より奥深く、多種多様で、広がりのあるサウンドを見せている。ヨーロッパやアメリカをツアーで周り、多くのアーティストとの共演を果たし、音楽的に視野が広がったのであろう。
 
メロウ・ロック/ギター・ファンクな「Loveless」。アフリカンなパーカッションと、間隔をあけて鳴る重たいキックが怪しく野性的なグルーヴを生んでいる「By & Bye」。憂愁のピアノ・メロディーやストリングスが響く下を激しい高速ドラムビートが駆け巡る「Bottom Line」。70年代のソウルをループしたような上モノにゆったりとしたリズムが刻まれる「Look In The Sky」。サイケデリックなプログ・ロック調の「Light Goes A Long Way」。そしてシネマチックでスリリングな「Numbers and Steel」。多様なリズムが生む多面的なグルーヴの中を、マラTKの柔らかでどこかもの哀しげな、マーヴィン・ゲイを思い出させるヴォーカルが漂う。『Electric Circus』のように実験を恐れず、ひとつのジャンルやスタイルに囚われず、感じるままにソウル、ジャズ、ファンク、ヒップホップ、ロック、エレクトロニック・ミュージックを融合した今作で、彼らは確実に、彼らにしか出せないサウンドを手に入れた。

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