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Modern Streets

Artist : Beat Spacek  | Label : Ninja Tune / Beat Records  | Release Date : 2015/1/24

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『Curvatia』でUKのフューチャリスティックなヒップホップ・ソウルの金字塔を打ち立てたスペイセック。現在、3人のメンバーはそれぞれソロ活動中で、モーガン・ザラテはハイパーダブから作品を出すほか、A・サイドとウィー・アー・シャイニングというミクスチャー・ロック的なユニットをやっている。エドムンド・カヴィルは停滞していたが、そのWASのアルバム『Kara』にギタリストとして参加しており、久しぶりに復帰した模様。そして、スペイセックの中心的存在だったスティーヴ・スペイセックことスティーヴ・ホワイトは、近年ではマーク・プリチャードとアフリカ・ハイテックを結成し、ポスト・ダブステップ~ジュークに接近した実験的エレクトロニック・サウンドが印象に残る。一方、カタリストとスペース・インヴェーダーズを組み、60~70年代のヴィンテージ・サウンドを取り入れたソウル/ファンク~ヒップホップを志向するなど、多方面に渡って意欲的な試みを行っている。
 
本作はビート・スペイセックという新たな名義だが、これはブラック・ポケット以来となるスティーヴのソロ・プロジェクト。ブラック・ポケットのアルバムが基本的にインスト・トラック集だったのに対し、ビート・スペイセックはスティーヴのヴォーカルを生かしたもので、本デビュー作は2005年のソロ・アルバム『Space Shift』と比較すべきだろう。モーガンとエドのスペイセック組に加え、Jディラ、GB、サンダーキャット、オリン・ウォルターズからリオン・ウェアまで、多彩なゲストが参加した『Space Shift』は、マーヴィン・ゲイやカーティス・メイフィールドなどから受け継がれるソウル・シンガーとしての資質と、同時にトラック・メイカーとしての卓越したセンスを見事に両立させた。アルバム全体のトーンは『Curvatia』の世界を継承するフューチャー・ソウルで、ビートはヒップホップ系のダウンテンポで統一され、まとまりのアルバムだったと言える。
 
本作にはそうした豪華なゲストはいないが、サウンド自体はもっとカラフルになっている。冒頭のデジタル・ダンスホールにパンキッシュな感覚を持ち込んだ「I Wanna Know」に続き、ラテン調の出だしからブロークンビーツへ推移する「Tonight」という流れを聴けば、本作が従来の彼の音楽性の中に収まっていないことは明白だ。表題曲はクラフトワーク的と言えばいいだろうか、こうしたテクノポップ~エレクトロ~ニューウェイヴ的なモチーフの作品が本作には多い。アフリカ・ハイテックをはじめとした近年の活動をフィードバックし、スティーヴの音楽性が今までになかった方向性を持ち始めていることが窺える。残念ながらヴォーカリストとしての魅力を楽しむには、やや消化不良と言わざるを得ない部分もある。ただ、そうした中でも「Compact n Sleep」は極上のスウィートなエレクトリック・ソウルで、スペイセックでの「Eve」、『Space Shift』中の「Thursday」など、過去の名曲に比類し得るポテンシャルを持っている。

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