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Nobody’s Smiling

Artist : Common  | Label : ARTium/Def Jam  | Release Date : 2014/7/22

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デビュー当時からのプロダクション・パートナーであり、現在はデフ・ジャムの副社長を務めるNo I.D.が立ち上げたアーティウム・レコーディングスに移籍してのニュー・アルバム。前作『The Dreamer/The Believer』(2011年)でNo I.D.と14年ぶりのリユニオンをはたしていることを考えると、このタイミングでのコモンのアーティウム入りはごく自然な流れに思えるが、その背景にはこれがコモンにとって記念すべき10枚目のアルバムであること、そして今年が彼の初期の傑作で初めてNo I.D.が全編のプロデュースを手掛けた『Resurrection』(1994年)のリリース20周年であることなど、キャリアの大きな節目を祝福する意味合いもあるのだろう。
 
そんなお互いにとってメモリアルな新作であるにも関わらず、なぜ『Nobody’s Smiling』などという殺伐としたタイトルが冠せられているかというと、ここでコモンとNo I.D.は全米きっての犯罪都市としてすっかりネガティヴなイメージが定着してしまった地元シカゴの惨状を伝えようとしているからだ。カーティス・メイフィールド“The Other Side”の一節をサンプリングしてシカゴのゲットーの過去と現在を重ね合わせるオープニングの“The Neighborhood”から、混迷のなかで生きる人々の嘆きと祈りを地鳴りのごときゴスペル・クワイア(ヌメロのコンピレーション『Good God! A Gospel Funk Hymnal』に収録されていたヴォイセズ・オブ・コンクエスト“O Yes My Lord”の引用が光る)が体現するクライマックスの“Kingdom”まで、アルバムはコモンのディスコグラフィ中でも最もヘヴィでシリアスな様相を呈している。
 
だが、『Nobody’s Smiling』がまったく救いのない内容かというとそんなことはない。シカゴの若いラッパーたちのポートレートがあしらわれたジャケットやインナースリーヴ、さらにはリル・ハーブやドリージーのゲスト参加に象徴されるように(すでにレコーディングを完了していたというチャンス・ザ・ラッパーとのコラボが未収録になってしまったことが悔やまれる)、ここでコモンは活況著しい現在のシカゴ・ヒップホップ・シーンをリプリゼントしていて、その逞しい生命力がダークなアルバムに一縷の光明をもたらしている。「この新作では自分の故郷とヒップホップのコミュニティに恩返しをしたかったんだ」とはコモン。『Nobody’s Smiling』はこれまで彼が残したどのアルバムよりも渋くて取っ付きにくいかもしれないが、じっくりと向き合ってみるだけの価値は十分にある。

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