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Projections

Artist : Romare  | Label : Ninja Tune  | Release Date : 2015/2/23

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そのディープネス、ブラックネスはムーディーマンに比するものがあるロメアだが、面白いことに彼はロンドンの白人プロデューサーである。本名はアーチー・フェアハーストで、ロメアとは美術家ロメア・ビアーデン(1911-1988)を由来とする。アフリカ系アメリカ人のビアーデンは、自身のルーツであるアフリカン・アートをコラージュして散りばめた作品で知られる。彼へのオマージュとして、このロメアというプロジェクト名が生まれた。デビュー作は2012年にブラック・エーカーからリリースしたEP『Meditations On Afrocentrism』で、翌年の第2弾EP『Love Songs: Part One』を発表後ニンジャ・チューンに移籍し、シングル「Roots c/w Pusherman」を経て本ファースト・アルバムへ至る。こうしたタイトルから示されるように、ロメアの作品には一貫してアフリカ回帰色の強い黒人音楽のモチーフがある。ジャズ、ブルース、ゴスペルなどルーツ・ミュージックを、現代のエレクトロニック・ミュージックの形を借りて表現したものといえよう。
 
『Projections』に収められた楽曲のタイトルには、先行シングルの「Roots」はじめ、「Work Song」「Motherless Child」「Prison Blues」などがあり、それらはアフリカへの想い、奴隷としてアメリカに連れてこられた黒人たち、公民権運動などを連想させる。とは言っても、そこに政治や社会的メッセージを強く込めているわけではなく、あくまで音楽的題材とした客観性が感じられるのは、やはりイギリスの白人アーティストだからだろう。ビアーデンのように、いろいろな素材をコラージュ・アートとして表現する手法を彼も用いている。「Nina’s Charm」にはニーナ・シモンの歌が用いられ、「Motherless Child」はニグロ・スピリチュアルの「Sometimes I Feel Like A Motherless Child」から来ている。「Work Song」はナット・アダレイが原曲だが、それだけでなくニーナ・シモンが歌ったヴァージョンなどいろいろな断片を巧みにコラージュした、まさにアート作品といえるもの。
 
クラブ・ミュージックとしても非常に刺激的でグルーヴに溢れ、「Roots」のゲットー感覚はムーディーマンやセオ・パリッシュらのそれと遜色ない。この曲や「Prison Blues」はデトロイトのディープ・ハウスやビートダウンの系譜に属するものだが、それ以外にも幅広い音楽的要素を見せる。「Nina’s Charm」「La Petite Mort」はドリアン・コンセプトに通じるエレクトロニカ作品と言えるし、「Work Song」はスウィンドルのようなジャズとベース・ミュージックの融合体。「Motherless Child」はジャズ特有のリズムだが、そこにフットワーク的なセンスも絡めている。ヴィンテージなファンク・チューン「Lover Man」、ユニークなエレクトリック・ブルースの「The Drifter」など、様々な時代の音楽やスタイルを咀嚼し、自身の個性を持つサウンドとして表現している。こうした多彩で独自性を感じさせるセンス、またコラージュ・アートとしての完成度の高さから、ニンジャ・チューンがアルバムをリリースさせたことも納得がいくアーティストといえよう。

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