038

Sigh

Artist : Leon Ware  | Label : Kitchen / P-Vine  | Release Date : 2014/12/3

Purchase

iTunes
Tower
HMV

マーヴィン・ゲイ『I Want You』(76年)やクインシー・ジョーンズ『Body Heat』(74年)に裏方やゲストとして関わったのは、もう40年近くも前のこと。90年代にマクスウェルやオマーらとコラボしたのも今や昔話になるほど、リオン・ウェア(現在74歳)は音楽キャリアを更新し続けている。あてもなく彷徨うような独特のメロディラインと、汗臭さや逞しさといったお決まりのソウル感とは反対を行く吐息のような艶めかしいヴォーカル。そんなリオン節に惚れ込んだ若手からのラヴコールは今も絶えず、先日もセオフィラス・ロンドンがそのメロウな音世界に身を浸していた。一方でリオン自身もクァドロンやマーク・ド・クライヴ=ロウとのコラボによる新曲を発表、相も変わらずエロスの追求に余念がない。
 
 ニュー・アルバムとしてはスタックス/コンコード発となった前作から6年ぶり。バックを支えるのはリオンのライヴやセッションでもお馴染みの面々で、今回も変わることなく愛と官能を描いた濃密なリリックを、妖しく浮遊するようなコーラスと一体となりながらエレガントに歌い上げていく。79年作『Inside Is Love』で“Small Cafe”を共作したロン・ローカーと再びペンを交えたスロウ“Sigh”などは定番のリオン節だし、ボッサ・タッチの“Summer Is Her Name”やサンバ調のアップ“Wishful Thinking”にはマルコス・ヴァーリとの蜜月時代を思い出さずにはいられない。2003年作『Love’s Drippin’』からリオンの側近となっているテイラー・グレイヴスとは4曲を共同制作しているが、うち、マーヴィン・ゲイ『I Want You』マナーのコーラスやカマシ・ワシントンのサックスが深い夜に誘い込むような“Darkest Night”にはサンダーキャットことスティーヴン・ブルーナー(ベース)とその兄弟であるロナルド・ブルーナー(ドラムス)も参加。実はテイラー、カマシ、ブルーナー兄弟はかつてヤング・ジャズ・ジャイアンツとして活動(2004年にアルバムも発表)していた時にリオンのツアー・メンバーに起用されているのだが、ここでは近年フライング・ロータス周辺でも活躍する彼らが“枯れエロ”なリオンに2014年のフィーリングを注ぎ込んでいるのだ。冒頭の“Let Love In”、女声を交えて80年代風のリズム・マシンを鳴らしたミディアム・グルーヴの“Street Party”といった曲には特にそうした現代的なリズム/ビート感覚が際立つ。また、全体を通してある種のアンビエント感も漂うが、シャーデーなどと並んで艶美な音世界をトレードマークとしてきたリオンはアンビエント系R&Bのオリジネイター的存在と言えなくもない。そんなことに改めて気づかせてくれる一枚でもある。

Reviewed by

Share this Article

Like
Tweet
Share
コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>