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Souled Out

Artist : Jhene Aiko  | Label : Artium / Def Jam  | Release Date : 2014/9/14

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2011年3月16日にミックステープ『Sailing Soul(s)』をひっさげてデビューしたロサンゼルス出身の26歳、ジェネイ・アイコは、その5日後にミックステープ『House of Balloons』で登場したザ・ウィークエンドと並んで、以降スタンダード化していくアンビエントR&Bのモードを設定したキーパーソンといっていいだろう。だが、そのあと年内にさらに2枚のミックステープを連発してユニヴァーサル・リパブリックと契約、翌2012年にメジャー・デビューを果たして着実に独自のステイタスを築き上げていったザ・ウィークエンドに対し、ジェネイは(昨年にEP『Sail Out』を出してはいるものの)こうしてまとまった作品をつくるのに結局3年半もかかってしまった。彼女が『Sailing Soul(s)』で標榜したサウンドがPBR&BやインディーR&Bの名でブラック・ミュージックの枠を超えた時代の音として認知されている現状を考えると(しかも、残念なことにその峠は越えつつある)、パイオニアであり本来ザ・ウィークエンドと共にムーヴメントを牽引する立場のジェネイが後手後手に回ってしまった状況にはなんとも口惜しいものがある。
 
 カニエ・ウェストのメンターとしておなじみ、No I.D.がデフ・ジャム傘下に興したアーティウム・レコーディングスからのメジャー・デビュー・フル・アルバム。そのNo I.D.を中心に、クラムス・カジノやサンダーキャットらが構築するアトモスフェリックなビートのうえで艶かしく物憂げに舞うジェネイのパフォーマンスは、さすがに数多のフォロワーとはモノがちがうというか、ドレイクやケンドリック・ラマーなどいまをときめくラッパーたちの寵愛を受けてきただけの風格と〈時代の気分〉をしっかりと携えている。また、本人のエキゾチックなルックスにインスパイアされたと思われるほのかなトロピカル・テイストの導入やチル・ウェイヴ以降のインディー・ロックに呼応するような“W.A.Y.S.”などの新機軸からはオリジネイターの意地を垣間見ることができるし、仮にそういった文脈を一切抜きにしても、ここで展開されている極上のリラクゼーション・ムードは深夜のチルアウトの新しい定番として広く一般にアピールし得るだけの普遍性がある。正直なところこれといったウィークポイントが見当たらないほどに完成度は高く、全米R&Bチャートで初登場1位を記録するなど結果もきっちりと残しているのだが、それだけに(しつこいようだけれど)せめてもう一年早くリリースされていたら、との思いが湧いてくるのも確か。やはりタイミングも名盤を名盤たらしめる重要な要素なのだ。

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