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Sour Soul

Artist : Badbadnotgood & Ghostface Killah  | Label : Lex / Beat Records  | Release Date : 2015/02/24

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数年前にオッドフューチャーなどのヒップホップ・アーティストの曲をジャズ調にカバーした作品をネット上でリリースし、注目を集めたトロントのスリーピースバンド、バッドバッドノットグッド。2014年に発売したデビュー・アルバム『III』はジャズやヒップホップから、ベースミュージックの影響まで感じる、美しく、妖しく、サイケデリックでエクスペリメンタルなアルバムであり、近年のフライング・ロータスやサンダーキャットとも通じるスピリットがあった。新作『Sour Soul』は、まだ20代前半の3人組と、ベテランMC、ゴーストフェイス・キラーの異色の邂逅となる。『III』のリバーブに溢れたメロディーラインやヴィンテージ機材を通したアナログな質感はもちろん健在だが、全体的なトーンは打って変わってソウルフルとなっている。
 
『Sour Soul』は、『III』も手がけているトロント拠点のプロデューサー、フランク・デュークスが実現させたコラボであり、彼はバッドバッドノットグッドのメンバーにアイザック・ヘイズなどのソウル・ミュージックを聴かせ、共にアイディアを練っていたと語っている。こうして出来た新作は、70年代のブラックスプロイテーション/スパイ・アクション映画のサウンドトラックにゴーストフェイス・キラーのラップを組み合わせたかのような、ときにスリリングで、ときにメランコリックで、終始シネマチックな作品になっている。『III』ではピアノやシンセがメロディー部分を担う曲が多かったのに比べ、同作ではギターの音が増えているのも特徴だ。
 
エイドリアン・ヤングがプロデュースした『12 Reasons to Die』と、ザ・レヴェレーションズが担当した『36 Seasons』に続き、ゴーストフェイス・キラーにとっては生演奏をバックにした3作目のアルバムとなるが、魂のこもったラップをする彼は生演奏と相性が良い。リリック面では、前2作は明確なストーリーラインのあるコンセプト・アルバムであったが、今作は具体的なストーリーがあるというよりは、ゴーストの作品に常に登場するオルターエゴ、トニー・スタークス(=アイアンマン)のペルソナを通して、フィクションも交えながら自身の人生を語っているようだ。
 
タイトルトラック「Sour Soul」や、「Nuggets of Wisdom」、「Food」などメロウでメロディアスな楽曲もあるが、ダニー・ブラウンが参加した「Six Degrees」は『III』に収録されていても違和感がなさそうなミステリアスさ。エルザイとマイクを交わす「Gunshowers」で響くギターサウンドには、荒野の情景が浮かぶ。浮遊感漂うスローな哀愁ソウル「Tone’s Rap」では、ゴーストがピンプ・ブルースを歌い、ドゥームが参加した「Ray Gun」の後半では、スパイ映画のテーマソングと言われても疑わない程ダイナミックな展開が待ち構えている。ゆったりとしたジャジーなイントロ「Mono」や、シェイカーのグルーヴ感が素晴らしい「Stark’s Reality」、ベースライン・グルーヴで始まり、壮大なストリングスでエンディングを飾る「Experience」など、インスト曲もただのインタールード以上の役割を果たしており、アルバムを通して、1本の映画のような作りになっている。
 
ラップを軸にアレンジされているため、バッドバッドノットグッドのアルバムとして聴くと、『BBNG』、『BBNG 2』、『III』で提示してきた実験性や冒険心を好むリスナーにとってはやや刺激に欠けるものなのかもしれないが、逆にこれまでの作品でついた“ヒップホップを通過したジャズバンド”というイメージをも覆しており、彼らのミュージシャンとしての振り幅を示す重要な作品でもある。そしてゴーストフェイスのアルバムとして評価すると、『12 Reasons to Die』と『36 Seasons』と共に、今後のラップ・アルバムの在り方に影響を与えてもおかしくない良作。今度は様々なラッパーをフィーチャーしたバッドバッドノットグッドのアルバムも聴いてみたいところ。

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