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Square One

Artist : Kenn Starr  | Label : Mello Music Group  | Release Date : 2015/1/27

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レイドバックでクールなフロウで、滑舌良く多重音節の韻を踏み倒すテクニカルなラッパー。ケン・スターの魅力はそういった所にある。ヴァージニア州出身のこのMCはケヴ・ブラウンらが所属するヒップホップ集団、ロー・バジェット・クルーの一員であり、2006年にリリースしたデビュー・アルバム『Starr Status』は、ケヴ・ブラウン、オディシー、ロディー・ロッド、クライシス、イルマインドなどアンダーグラウンドのトップ・プロデューサーたちが集結した良作であり、スキルフルな気鋭MCとしてアンダーグラウンドでの地位を確立させた。
 
ところがその後は、2009年のミックステープ以外で作品をリリースしておらず、2010年代に入る頃には彼の存在を忘れてしまったリスナーも少なくは無かったことだろう。現在のインディー・ヒップホップ界で頭ひとつ抜きん出ている重要レーベル、Mello Music Groupからのリリースとなる、ファンにとっては待望のカムバック作『Square One』は、実に9年ぶりの2ndアルバムということになる。
 
『Square One』は、“振り出しに戻る”という意味のフレーズ、「back to square one」から来ており、1stの内容を忘れた人も、1stを聴いていない人も含めて、改めて自己紹介をすることが目的のようである。前作ではオディシーがプロデュースの大部分を担っており、曲調も豊かであったが、今作はケヴ・ブラウンが手がけた楽曲が大半を占めており、全体的にいぶし銀なケヴ節が炸裂。前作と比べると、ケン・スターのラップには更なる落ち着きと余裕が漂っており、それがケヴ・ブラウンの簡素かつ深みのあるトラックに絶妙にマッチしている。同じMello Music Group所属であるオディシーが今回1曲も提供をしていないのは少々残念であったが、ブラック・ミルクが3曲、14KTが1曲手がけているのは好印象。特に、デトロイト出身のMCブーグ・ブラウンが参加した、ミステリアスな14KTのトラックが映える「Exodus」は同作のハイライト。だがマスパイクのプロデューサー、ロディー・ロッドによるソウルフルなループが心地良い、ゆったりとした「Cigarettes & Whiskey」や、ア・トライブ・コールド・クエストの「The Hop」と同ネタ(ヘンリー・フランクリン「Soft Spirit」)と思われるジャジーなケヴ・ブラウン・ビート「Product of the Basement Remix」など、やはりメロウなトラックがケン・スターの滑らかなフロウを一番引き立てていると感じた。
 
決して目新しい要素はないが、ケン・スターを忘れていた/知らなかったヘッズが改めてこのリリシストの緻密なラップに触れるには良いアルバムであり、ケヴ・ブラウン、ロディー・ロッド、ブラック・ミルクといった名前に食指が動くファンは確実に耳を傾けるべき作品である。

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