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The Big Knock

Artist : Jaded Incorporated  | Label : Casablanca Records  | Release Date : 2014/6/17

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メイヤー・ホーソーンと比べると14KTというプロデューサーは比較的知名度が低いかもしれないが、2人ともミシガン州アナーバー育ちの高校時代からの友人であり、ヒップホップクルー、アスレチック・マイク・リーグのメンバーであった。メイヤー・ホーソーンは古き良き時代のソウルを歌い上げるシンガーとしてStones Throwからデビューし、注目を集めたが、去年の『Where Does This Door Go』では、現代的で洗練されたR&B/ポップ・サウンドを魅せていた。一方、14KTはサンプリングやシンセを駆使したドラムヘヴィなヒップホップ・トラックを作ることで知られている。だが彼らのユニット、ジェイデッド・インコーポレーテッドのデビュー・アルバム『The Big Knock』は、それぞれのソロ作品とは大きくかけ離れた音楽性を擁した意欲作となった。

このアルバムは80年代のニュー・ウェーブと、90年代にデトロイトのクラブで流行したゲットーテック、そして現在進行形のヒップホップのエッセンスを詰め込んだサウンドになっており、このスタイルを“ビート・ウェーブ”と彼らは自ら呼んでいる。「Black Future」、「Coconut Sofa」、「Half Moon Bar OK」、「Faded Photograph」、「The Big Knock」など、まさにニュー・ウェーブ/シンセ・ポップ/ポスト・パンクな楽曲が多く、メイヤー・ホーソーンの歌い方もニュー・ウェーブを意識していることが明白である。しかし14KTの作り込むサウンドに古臭さは無く、質感も、リズム感もコンテンポラリーであり、シンセ音やドラム音のチョイスも14KTらしい。全体的にダークで実験的な作風ではありながら、キャッチーなポップさも兼ね備えており、実に絶妙なバランスを保っている。「Cubicle」や「Quantum Entanglement」、「People Change」といったスローなバラード曲も未来的であり、同時にレトロだ。

収録曲のうち、唯一14KTがプロデュースしていない曲「Monster」は、Jディラの未発表楽曲を使用しているが、おそらく2000年代前半ごろの制作であろう同トラックもダークで未来的であり、アルバム全体の雰囲気に見事にマッチしている。そもそも、ディラやワジード、ブラック・ミルクといったデトロイトのヒップホップ・プロデューサーは、エレクトロニック・ミュージックを取り入れて独自のサウンドに昇華させることを得意としており、それはやはりテクノが興隆したデトロイト(そして近郊のアナーバー)ならではなのだろう。『The Big Knock』もそういった、’80sの電子音楽にインスパイアされて生まれた作品だが、ただ懐古主義的に古いサウンドを真似るのではなく、現代の質感にアップデートし、レトロフューチャーな作品として仕上げられた成功例だ。

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