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The Good Fight

Artist : Oddisee  | Label : Mello Music Group  | Release Date : 2015/5/5

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ラップとプロデュースを両方こなすヒップホップ・アーティストは決して少なく無いが、片方のスキルのほうが高く評価されている場合が多い。オディッシーはラップとビート、どちらにおいてもその道一筋で腕を磨いている人に引けを取らない技術と才能の持ち主であり、真の二刀流と言える。その上、とてつもなく多作。2008年の『101』を皮切りに、彼はMello Music Groupからこれまで4枚のラップ・アルバムと、3枚のインスト・アルバムをリリースしてきたほか、彼が所属するグループ、ダイアモンド・ディストリクトのアルバムを2枚トータル・プロデュースし、EPやミックステープ、コンピレーションも複数発表してきた。それと平行して、サブスタンシャル、トレック・ライフ、ケン・スター、ジョージア・アン・マルドロウ、ジョーイ・バッドアスなど多数のアーティストに楽曲提供し、Mello Music Group関連作や、エリック・ラウ、20sylらの作品にラップで参加してきた。

ジャジー・ジェフ率いるA Touch Of Jazz Productions出身でもある彼は、サンプリング主体のソウルフルなプロダクション・スタイルで名を上げたが、近年の作品ではミュージシャンを起用し、より洗練された、広がりのあるサウンドを提示してきた。去年リリースされたダイアモンド・ディストリクトの2ndアルバムも良い出来であったが、そんなオディッシーのニューアルバム『The Good Fight』は、更なる磨きがかかったプロダクションと多様な音楽性で、これまで以上に幅広い層を取り込みそうだ。

特にリズムやグルーヴの振り幅が面白い。 様々な形の愛情を語った「That’s Love」はホーンが優しく響くポジティブな曲だが、ビートはBPM130ほど。ヴィブラフォンとクラップとオープンハットが穏やかにぶつかり合う「Counter-Clockwise」は、ヒップホップ(というよりもポピュラー・ミュージック)であまり聴くことの無い5/4拍子を巧妙に活用している(これはスーダン人の血筋を引く彼が幼少期から聴いていたスーダンの音楽の影響だとツイッターで語っていた)。日々直面する矛盾との葛藤を、迷路を彷徨う気持ちに例えた「Contradiction’s Maze」では、BPM60のスロービートの上を倍速でフロウし、表紙で本の内容を判断してしまうかのように人を表面的に捉えることの愚かさを指摘する「Book Cover」では、大胆なテンポ・チェンジが待っている。

埃まみれのサイケ・ファンク「A List of Withouts」や、後半のホーン・パートが映える「Want Something Done」、哀愁のギター・ソロが響く「What They’ll Say」など、抜群のメロディーセンスと練られたアレンジメントが楽しめるトラックが豊富だが、小気味良いカッティング・ギターが輝く「First Choice」では、珍しくサビを歌っており、パフォーマーとしての引き出しの多さも見逃せない。オディッシーはどこまでもヒップホップでありながら、同時に、所謂ヒップホップらしさに全く囚われている様子がないアーティストだ。

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