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Welcome to My World

Artist : Joyce Elaine Yuille  | Label : Schema  | Release Date : 2015/04/20

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イタリアのスケーマは、かつてはニコラ・コンテやジェラルド・フリジーナなど、自国のアーティストを専門とするレーベルだった。しかし、近年はティモ・ラッシーやユッカ・エスコラなど、フィンランドはじめ北欧のアーティストの作品もリリースしている。ファイヴ・コーナーズ・クインテットなき現在、ティモとユッカはそれぞれソロ活動に邁進するが、彼らの作品をリリースしていたフィンランドのリッキー・ティックもレーベル活動を停止している。彼らはニコラ・コンテのバンド・メンバーとしても活躍するので、恐らくそのつてでスケーマから作品を出しているのだろう。スケーマからデビューした女性ジャズ・シンガーのジョイス・イレーヌ・ユールは、もともとニューヨークのイースト・ハーレム出身。その後ヨーロッパに拠点を移してライヴ活動をする中、スケーマの主宰者であるルチアーノ・カントーネの目に留まり、本作の発表へ繋がった。プロデュースはルチアーノで、ティモ・ラッシーも共同プロデューサーに名を連ねる。バック演奏はテナー・サックスのティモ以下、ファイヴ・コーナーズ時からの仲間であるアンチ・ロッジョネン(ベース)ほか、ゲオルギオス・コントラフォリス(ピアノ、キーボード)、アブディーサ・アシィーファ(パーカッション)ら彼のバンド・メンバーに加え、ジェラルド・フリジーナの作品でも演奏するアルフォンゾ・ディーダ(アルト・サックス、フルート)、マルコ・ブリオッシ(トランペット)などというフィンランドとイタリアの混成チーム。ルチアーノもパーカッションで演奏に加わっている。
 
この面々だとヨーロッパの香り高い作品にかと思いきや、実際はアフロ・アメリカンのジョイスの歌声にマッチしたソウルフルな演奏。ティモはソロ作ではソウル・ジャズやアフロ・ジャズ、スピリチュアル・ジャズ系の作品をやっていたので、その路線を踏襲したものといえる。もちろん、今回は伴奏なので必要以上に表に出ることはなく、ジョイスをうまくサポートしている。ジョイスの歌声はニーナ・シモンやサラ・ヴォーンあたりの系譜に属するもので、ロバータ・フラックを彷彿とさせるところもある。「Follow the Sun」「Chaos」「Late I Rose」に見られるようにクールでブルージーなフィーリングを持つ黒人ジャズ歌手ならではの歌い方で、「Come with Me」「Just Say Goodbye」などリズム&ブルースやソウル寄りのナンバーを歌いこなすヴァーサタイルな感覚も有する。「Running for My Love」のような温かみに満ちた歌もいいし、ゴスペル調の「Time to Love Again」でのスケール感、バラードの表題曲でのソフトな美しさも光る。カヴァーではペニー・グッドウィンのクラシック「Too Soon You’re Old」がまず目を引き、ダニー・ハサウェイ作曲でロバータ・フラックの歌で知られる「Tryin’ Times」、マーヴィン・ゲイの死後に発表された「It’s Madness」もやっている。「It’s Madness」はジョイスにとって思い入れの深い曲で、心なしか「Make Right」からもマーヴィン的なマナーが感じられる。女性版グレゴリー・ポーターになり得る資質を持つ、楽しみなシンガーが登場したのではないだろうか。

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