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Wonder Where We Land

Artist : SBTRKT  | Label : Young Turks  | Release Date : 2014/9/29

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「UKのベース・ミュージックとは?」という問いに対し個人的にもっともしっくりきたアルバムは、SBTRKT(サブトラクト)が2011年に発表したデビュー・アルバム『SBTRKT』だった。スピード・ガラージやダブステップをルーツに、インディー・ダンスからR&Bにもリンクする幅広さを持ち、それ以前の12インチやリミックス群で見せたアンダーグウランドなサウンドを、オーヴァーグラウンドへと拡散させる力を擁する作品だった。全体的にはエレクトリックなサウンドを身にまといながら、本名のアーロン・ジェローム名義時代の4ヒーローにも通じるオーガニックなブロークンビーツ・ジャズ(そもそも彼はドラマー出身)、ケニア生まれのインド系という出目が示すアフリカ音楽、インド音楽やフォークをはじめとした豊かな意匠を随所に覗かせ、彼の作品が深い音楽的素養に満ちた産物であることは明らかだった。ドレイク、ユキミ・ナガノ(リトル・ドラゴン)などのアイコン的ゲストの配置も面白かったし、逆にサンファやジェシー・ウェアなどがこのアルバムへの参加により、一気にブレイクしたことは周知だろう。それ以降はライヴやツアーなどで忙しく、作品リリースは散発的な12インチ・カットやEP、リミックスの提供程度だったが、ようやくここに2作目のアルバムが完成した。
 
今回はサンファ、ジェシー・ウェアのほか、同じUKの注目プロデューサーのコアレス、セオ・パリッシュのフックアップで登場したガーナ出身のアンドリュー・アショング、A$AP(エイサップ)・ファーグや新星ラウリーなどのUSヒップホップ勢と、さらに幅広いゲストが参加。エズラ・クーニグ(ヴァンパイア・ウィークエンド)、キャロライン・ポラチェック(チェアリフト)、ウォーペイントなど、USのオルタナ・ロックやインディ・ポップ勢の参加が興味深い点だ。ツアーなどでアメリカ滞在期間が増え、そうした米国のサウンドに影響を受けたことが伺える(ちなみに、本作のマスタリングはカニエ・ウェストやレッチリを手掛けたエンジニアのヴァルド・メラーに依頼)。「Everybody Knows」が前作の路線を踏襲した作品とすれば、エズラ・クーニグをフィーチャーした「New Drop. New York」は今までなかった新しいタイプの曲で、そうしたUSからの影響がもたらした成果と言えよう。
 
CD2枚組、iTunesデラックス・エディションで23曲収録という大ヴォリュームで、そのぶん短い曲が多い。そうしたこともあっていささか散漫な印象があるのだが、曲ごとを取り出して聴くより、全体を通して聴くべきトータル・アルバム的な作りであると思う。インタールードの「Day 5」から、キャロライン・ポラチェックが歌うモダン・クラシカルな「Look Away」、コアレスの抽象的なサウンド・スケープが生かされた「Osea」、そこからサンファのメランコリックなヴォーカルによる「Temporary」と続く流れは、そうしたサウンド・ジャーニーを示す一例だ。そして、多彩なゲストの中にあって、やはり一番サブトラクトのサウンドに合うのはサンファの歌であろう。今回彼はヴォーカルのみの参加で、「If It Happens」はその歌とピアノのみで綴られる佳曲。このピアノはサブトラクト自身が弾いており、アンドリュー・アショングとサンファがフィーチャーされた「Maybe」など、ほかにも器楽演奏が生かされた曲が多く、彼の音楽的ステップアップが確実に感じられるのではないだろうか。

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