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Xen

Artist : Arca  | Label : Mute  | Release Date : 2014/11/10

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2012年にデビューして、わずか2年で話題のプロデューサーのひとりとなったアルカことアレハンドロ・ゲルシ。ヴェネズエラ出身でニューヨークに渡り、現在はロンドンで活動する24才の彼が注目を集めるきっけとなったのは、カニエ・ウェストの『Yeezus』(2013年)の共同プロデューサーのひとりに抜擢されたことだ(ほかにダフト・パンク、ゲサフェルステイン、セーラムのジャック・ドノヒュー、ハドソン・モホークとルナイスのTNGHTコンビ、エヴィアン・クライストなど、ヒップホップの枠に収まらない幅広い制作陣が参加したアルバムだった)。そして、昨年から今年にかけてオルタナR&Bの異形にして寵児と脚光を浴びたFKAツイッグスをプロデュースし、さらにビヨークの次のアルバムをプロデュースするという話も舞い込み、その期待値は上昇する一方だ。そんなアルカのファースト・アルバムは、これらメディアやリスナーの期待を裏切らないものとなっている。
 
アルカの音楽を言葉で説明するのは難しい。と言うのは極めて抽象的で、捉えどころがない音楽だからだ。大雑把に言えばフライング・ロータスのようなグリッチ・ホップの系譜に属しており、インダストリアル~ノイズ音楽、アヴァンギャルド~エクスペリメンタル・ミュージック、IDM、エレクトロニカ、ダブステップなどからの要素を持つ。さらにクラシックや現代音楽からの影響を伺わせるところもあり、聴けば聴くほど計り知れない奥深さを感じさせるアーティストだ。アルバム・タイトルにもなっている「Xen」とは、Faderのインタビューによると「男の子でも女の子でもなく、単にその存在が不快でもあり魅力でもある」というアルカの別人格とのことだが、そうしたアンドロジナス的で美醜一体となった感覚がアルバム全体を貫く。オープニングの「Now You Know」がその象徴で、美しい音響空間が次第にメタリックな電子音に浸食されていく。「Fish」には虫唾が走る快感というか微妙なキモ可愛さがあり、「Bullet Chained」には戦場の暴力がある。最終曲「Promise」の結末は、まるで惑星が爆発して終末を迎えるかのようだ。
 
一般的なビート・ミュージックやベース・ミュージックと比較して、リズムも不定形で曖昧な作品が多いのがアルカだ。「Falled」のようにノンビート系のアンビエント作品もあれば、「Held Apart」や「Sad Bitch」などはポスト・クラシカルとして評価されるべきナンバーだし、「Family Violence」や「Wound」はまるで室内交響曲を聴くかのようだ。そうした中で「Slit Thru」や「Sisters」などは比較的ビート感がある作品だが、微妙に歪んだ音像が聴く者の幻覚を引き起こす。夢の中に現れる死者の舞踏曲とでも言うべき「Thievery」は、このアルバムのハイライトだろう。現世とあの世の交感という意味では、フライング・ロータスの『You’re Dead!』の裏版とも言えるアルバムではないだろうか。

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