Freedom Custom Guitar Research

May 12,2014 | Category :  News | Tag :  

FINEST CRAFT  -  こだわりの技巧

Freedom Custom Guitar Research

by Danny Masao Winston / photos by Suzu (fresco)

 “自由な発想でギター作りを追求する”という想いを込め、フリーダム・カスタム・ギター・リサーチと名付けた深野真のギター&ベース工房では、98年の開業以来、量より質を重視し14名のスタッフのもとひとつのチームとして1本1本丁寧にハンドメイドでギター、ベースを作り続けている。工程や材料にとことんこだわり、組み立てや塗装などそれぞれ担当するスタッフ達が、ただ最高のものを作ることにのみ全神経を集中させ、製品よりは“作品”と呼ぶべきものを少量生産している。こだわりを持ってものを作るという点において、唯一無二のハンドメイド・バーボン、Maker’s Markの理念に通じるものがある。そのこだわりの源を探るため、我々は100年経っても生命を失わないギターとベースを生み出すべく日夜奮闘しているフリーダム・カスタム・ギター・リサーチの門を叩き、チームリーダー深野真にMaker’s Markを嗜みながら話をきいた。

まずは、 音楽との出会いを教えてください。

 3つ上の姉貴がいて姉が中学に入る頃、自分が小学校4年生の時に、姉貴がビートルズの赤盤と青盤というベストアルバムを聴き始めたんですね。だから必然的に耳に入って来たわけで、気がつけば口ずさんでる自分がいました。そうやってビートルズにやられたのがきっかけですね。そこから、ロックを好きになって、ベイ・シティ・ローラーズとか、キッスを聴いてました。レコード屋でキッスのレコードのジャケットを初めて見たとき、「何だこれは! この中にはどんな音楽が入ってるんだろう」って思って。買ってみたら、自分の好きなタイプの音楽ばっかり入ってる、って思いましたね。それでハマって、小学校の遠足の写真では舌を出して、ジーン・シモンズの真似して写ってたりなんかしてました(笑)。中学の時、レッド・ツェッペリンの『狂熱のライブ』っていうのがロードショーであって、それを観に行ってまたやられちゃって。中学時代は「Whole Lotta Love」という曲を毎日、目覚まし代わりに聴いてましたね。


どういった経緯でギターを製作するようになったのですか?

 エレキギターは小学校4年の時にすでに欲しかったんですけど、当然手にすることはできず、初めて買ったのは中学1年生の時です。ジミー・ペイジが使っていたのと近い、グレコのレスポールモデルを買って。それから自分のエレキ人生が始まりました。高校に入ってからは同級生と先輩と、そして違う学校の奴らと3つのバンドに入ってました。学校をサボってライブハウスでギグやってるような学生でした(笑)。ところが、プレイミュージックとかギターを弾くことの現実にふと目覚めた時があって。プレイミュージックはアーティストの世界ですけど、その中で自分がやっていける感覚はなかったんです。オリジナル曲はやっていたんですけど、それよりも、昔からプラモ少年で、もの造りが好きだったんで。体育と図工だけは成績が良い子供でした。中学の時にすでにギターを自分で改造したりしていたんですが、あと宮大工にも憧れていて、宮大工の道に進もうかギターいじりをやろうかで、高校の時悩んでましたね。それでギターの工場に見学に行って、やっぱりこっちだって決めました。

 たまたま高校を卒業するときに、日本で初めてのギター製作学校が開設され、何も迷わずにそこへ入学しました。そして学校へ行きながらすぐに修理や製造のアルバイトを始めたのですが、実務の方が楽しく、学校は二の次にして仕事をしてました。それを2年やったあと、アメリカで仕事したくて、ボストンのバークリー音楽大学に行ってる知り合いがいたんで、彼の所に転がり込んでボストンに半年行ってました。ビザが切れる前に戻って来て、荷物まとめてまた行こうと思ってたんですけど、その時、学校時代の担任の先生だった、自分の師匠の木戸宏さんが、前職を辞めて独立することになって。アメリカに行くのはやめて、木戸さんのKid’s Guitarという所で働くことになったんです。ここで12年ほど働いて、修理をやったりカスタムオーダーを造ったりしたのを経て、1998年に今の会社フリーダム・カスタム・ギター・リサーチを立ち上げました。

自分は楽器を“音”と“機能”と“ルックス”の3つの要素で考えてます。

それにもう1つ付け足すとしたら“耐久性”ですね。

 量産でなく、1つ1つ丁寧にハンドメイドで作るこだわりは、どこから来るのでしょうか?

 自分にとっては、手で作っているか機械を使っているかはそんなに重要じゃないんですが、1本1本どこまでこだわって考えていることを具現化できるか、が問題ですね。そこを織り成すのは間違いなく人間の力だと思います。例えば木材のどの部分を使うか。量産する場合はおそらく取れる所からどんどん使うと思うんですけど、僕らはまず木目から見て厳選してます。入荷した材料の中で実際に使えるのって2/3ぐらいなんです。うちは「100年保証」を謳っているんです。まぁ100年後は生きていないんで、無責任な話ですけど(笑)。なぜそんなことを謳っているかと言うと、自分はビンテージ・ギターの魅力にやられてしまってるからなんです。50年代、60年代、70年代に作られたギターは今付加価値がついて高値になってますけど、そういった弾き込まれた古い楽器が持つ独特の音だったり、風格といったものがすごく好きで。自分たちが作ってる楽器も、40年、50年経ったときにそうなって欲しいんです。ビッグメーカーで月産何千本とか何万本とかやってる中で、自然淘汰で何百本かが残るのだとしたら、自分らの楽器は何本残るんだって話じゃないですか? 月産20本とかそんな所ですから。だから、10本作ったら10本全部残るものを作りたいって思うわけです。耐久性は絶対的にないとスタート地点にすら立てない。楽器としての生命が失われないという状況があった上で、音がいい、弾きやすい、かっこいいなどの理由から使われ続けて行くわけです。自分は楽器を“音”と“機能”と“ルックス”の3つの要素で考えてます。それにもう1つ付け足すとしたら“耐久性”ですね。耐久性を要素から外して考えているのは、うちの本体には、高い耐久性は勝手に付いてくるからです。うちではあえて“セレクテッド・ウッド”とかは謳ってないです。なぜなら全部セレクテッドだからです。一般のお客さんが来られても、プロのミュージシャンの方が来られても、そのスタンスは変わらないですね。


深野さんにとって、良いギターの条件とは何でしょう?

 自分が考える良いギターと良くないギターの分かれ目は、物理的な所ではなくて、プレイヤーの“頭”と“心”が直結できて、今出してる音とやっている音楽に没頭することができる楽器が良い楽器だと思います。そういった部分で何かがひっかかるような楽器は良くない。例え弦高が2センチぐらいあっても、フレットが1個なくても、弦が1本なくても、中国製の安いものであろうと、1本何千万するビンテージであろうと関係ないんです。個々のプレイヤーが演奏に入り込めるかどうかに尽きるんです。そこにどう至れるかが、腕の見せ所ですね。

深野さんはフリーダムのギターやベースをどういった方に演奏してほしいですか?

 弦楽器らしい響き、音を出す人ですかね。でもそれは、デジタルチックな今の音楽に合う音でもいいですし、アコースティック寄りなのかデジタル寄りなのかはプレイヤーの表現方法の世界ですけど。あと、飯が食えるか食えないかは別として、音楽やって生きていこうって人に使ってもらえたら嬉しいですね。そして色々なギターがある中で、うちのを選んで使ってくれるのであったら、良さを解って使ってもらえたら最高ですね。うちは自分達で作って、自分達で売る事を、一生懸命にやってる会社なので。


アナログレコードが主流だった時代から、音楽を取り巻く環境は著しく変化してきましたが、音楽の聴き方は変わりましたか?

 子供の頃だったら考えられないぐらい、今では新しい音楽を耳に入れるのはとても簡単ですよね。しかも良い音ですぐに。今でもラジオから流れる音楽であったり、自分のライブラリに入っている音楽を聴いたりしていますね。ライブラリの中は古いのばっかりですけど。ミュージシャンを目指して音楽をやっていた頃は、やっぱりギター・ミュージックばっかり聴いていたんですが、プレイするのを諦めて、ギターいじりを始めてからは、音楽を聴く幅がいきなり広がりました。だから実は、ギターは好きだったんですけどジミ・ヘンドリックスやローリング・ストーンズとかボブ・ディラン、AC/DCみたいな王道のロックとか、30代になってから好きになったものも結構あるんですよ。ジャズ、フュージョンだとか、スパニッシュなどのギター・ミュージックは昔から幅広く聴いてましたけどね。ボストンにいた頃のバークリーの友人達はベース科の人とドラム科の人だったんですけど、そこでコミューンというライフスタイルを知って、日本に帰ってきてからも知り合いのミュージシャンとルームシェアしたりなんかして。そうやって人との繋がりで音楽を聴いて楽しむ幅が広がっていきましたね。



極めてしまったミュージシャンの格好良さもあるんですけど、

極めるちょい前の限界でやっているプレイはすごく好きですね。

ジャンルで言うとどういう音楽が好きですか?

 ロックはもちろん大好きですし、ジャズ、フュージョンとか、ソウルなどブラック・ミュージックも好きです。ブラック・ミュージックを好きなったのは、20代の頃、ミーターズの格好良さに気づいてからですね。オルガンも好きなんですよ。ハモンドの音が大好きでハモンドやってる音楽は片っ端から聴いたり。フリー・ジャズも聴いてましたね。ジミー・スミスとかロン・リーヴィーとか。綺麗にハモンド・オルガンを弾くよりは、グルーヴ感のある弾き方が好きですね。ドラムにはまった時には、スティーブ・ガッドだったり、テクニカル系だったりを聴いてましたが、中でも1番好きだったのは、ヴィニー・カリウタっていうドラマーですね。ジノ・ヴァネリというAOR系のカナダ人のシンガーがいるんですけど、その人の『Nightwalker』 (1981)というアルバムに参加していて、ドラマーとして技術を極めて頂点に達するちょっと前に録った作品なんです。その、テクニックを極めるちょっと前に全開でやってる、というのが格好良いんですよね。極めてしまったミュージシャンの格好良さもあるんですけど、極めるちょい前の限界でやっているプレイはすごく好きですね。

今の若い人に、音楽はこう聴いて欲しいなどのアドバイスやメッセージはありますか?

 今ではこれだけ身近に音楽がありますけど、昔は音楽を聴くという行為自体が難しかった。試し聴きなんて出来なかったですよね。レコードジャケットを見て、本とかで読んで、レコードの中身を想像するしかなくて。後はラジオでかかるかをチェックして、ラジオの前でひたすら待つ。だから2、3ヶ月分のおこづかいを出してジャケ買いなんかをしたときは、「なんだよ」ってがっかりするわけにはいかないんですよ。つまり逆に、好きになるまで聴くわけです。「この音楽の良さって何だろう」って考えるんです、元を取るために(笑)。好きになるまで聴き込むってことがありました。今はそんなことは必要なく、自分に合った音楽、自分の琴線に触れる音楽を見つけ出すことがすごく簡単ですけど、人って成功した時は成功した要素をあまり振り返ろうとはしないんですよ。でも、失敗すると、何でだろうって考えるじゃないですか? だから、何で自分はこの音楽好きなんだろうって、あえて掘り下げてもらいたいなって思います。なんでかは解らないけど頭の中で回ってる、気づいたら口ずさんでる、この曲好きだなって思ったら、それってなんでなんだろう?って探ってみてもらいたいなって思いますね。


最後に、同じくハンドメイドにこだわっているバーボンMaker’s Markの感想を訊かせていただきたいです。

 ストレートで飲んだ時のアタリが柔らかいというか、キメが細かいですね。バーボン・ウイスキーは、弦振動で言う所のアタックのレンジが広すぎるのが多いじゃないですか? アタックが強くて耳が痛い音みたいな。それがないですよね。非常にまろやかで甘さとか香りが口に残ります。ディケイ(減衰時間)というか、サステイン(音の余韻)ですね。Maker’s Markってある種、すごく日本人向けなんじゃないですかね、どんな食べ物にも合いそうですし。初めてバーボン・ウイスキーとか飲んだ人って、アルコールでまず「わっ」となっちゃって、味の域までに達する状況じゃないと思うんですけど、このお酒ならまず1回常温で、氷を入れずにストレートで飲んでもらった方が良い気がしますね。楽器で言う所の倍音が多い、というか(笑)。弦楽器には音程を司る基音以外の周波数の倍音が出ていて、その成分が音の色艶とか、弦楽器らしさを出しているんです。基音とは、お酒で言うと化学薬品のアルコールみたいなもので、飲料としてのアルコールにはそこに水であったり、熟成であったりと色々な要素が合わさっているわけですが、それが音で言う所の倍音みたいなもので。そういう意味でこれは、すごい複雑でまろやかな倍音を持ってますね。ちょっとビックリしました。



東京都荒川区町屋6-31-14 
営業時間: 11:00~13:00/14:00~18:00

定休日: 毎週水曜日、第一、第三木曜日、祝祭日 

TEL: 03-5855-6277 FAX : 03-5855-6278
http://www.freedomcgr.com

Maker’s Mark / 世界に一本しかない、あなた宛てのバーボン。

http://www.suntory.co.jp/whisky/makersmark

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One thought on “Freedom Custom Guitar Research
  1. 山田博史 より:

    インターネットを見てそちらを知りました。
    実は、先日、オ-クションでgrecoのbassを
    購入しました。いわゆる、昔、ジ-ン シモンズが使っていたようなダブルカッタ-ウェイ
    の形です。そのbassのvoツマミの配列
    (3箇所)、を変えて、ヘッドのgrecoを消して、フロントピックアップの形成?、bassを
    白で縁取り(塗装)を考えています。
    そちらのお店のコンセプトには、そむわないと思いますが、なるべく安価なお店を探して
    います。宜しければ御連絡、宜しくお願いします。
    埼玉県草加市
    山田博史
    ℡ 090-9962-8144

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