MURO&ニック・ウォーカーの2人が、全7曲入りのバイナルレコードをリリース

December 12,2017 | Category :  Interview News | Tag :  Gypsy Eye, MURO, NICK WALKER,

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『Compilation Vinyl by MURO(KING OF DIGGIN’)Nick Walker Artittide by Gypsy Eye』インタビュー

物心ついたときからヒップホップカルチャーに魅せられ、レコードに夢中になり、グラフィティに夢中になり……80年代より各々の道を歩んできたDJ/プロデューサーのMUROと、グラフィティ&現代アーティストのニック・ウォーカー。東京、ロンドン、ニューヨークを拠点に世界を股にかけ活躍する2人が、全7曲入りのスペシャルなバイナルレコードCompilation Vinyl by MURO(KING OF DIGGIN’) Nick Walker Artittide by Gypsy Eye』を制作した。曲のセレクトをMUROが行い、レコードにはニックによるアート作品がついてくるという特典付き。国を越えたインディペンデントなアーティストによる、奇跡のコラボレーション作品が誕生した。

MURO 「東京、ブリストル、ニューヨークの3都市の要素を入れて曲を選んだ」

ニック・ウォーカーのことは、昔から知っていたんですか?

MURO: ニックが僕のカセットテープを聴いてくれていたようで、それでブルヤスくんを通じて知り会ったんです。イギリス生まれで、ニューヨークに影響を受けて90年代に向こうへ行って、向こうの空気感を感じ取って、いろいろな作品を物にして、というところが自分と似ているなあと。ここ数年ヨーロッパが自分の中で来ているんですけど、イギリス盤でしか出ていないものとか、イギリス盤とアメリカ盤とでカップリングが違うとかあって、細かい部分でイギリス盤の方がセンスが良かったりするんですよ。ジャケットのデザインもイギリス盤は12インチの縮小だったり、洗練されているんです。ニックの作品もニューヨークっぽいけれど、洗練されている。それとニックと僕は世代が一緒なんですけど、僕ら世代になると、自分の国の良い所を取り入れて作品にする。通ってきたり、聴いてきたところが一緒だから、感じる部分があるのかなと思いますね。

選曲はどのように行ったのですか?

MURO: 今回は、僕がいる東京、それとニックの故郷であるブリストル、それと2人の共通点でもあるニューヨークの3都市の要素を入れて曲を選んだ。A面の一曲目に入っているメジャーフォースの曲は、オリジナルは藤原ヒロシ+K.U.D.O+DJミロの曲で、カット・ケミストがリミックスをしているんですけど、DJミロはクラッシュ・ポッセ時代から僕のアイドルなので。ワイルド・バンチは本当に大好きでしたから。

メジャーフォースの曲は、改めて今聴くと凄く東京らしいサウンドだと思いました。そしてスミス&マイティのダブ感は、やはりザ・ブリストルですね。ダブは好きですか?

MURO: 好きですね。当時は現場の音が録音されたカセットテープとかが回ってきて、それを真似ていたくらいですから。サウンドシステムってレゲエだけでなくダンスミュージックにもあるじゃないですか。良いですよね。

そしてニューヨークはストレートな80年代ヒップホップ! しかもマーリー・マールとビック・ダディ・ケインですね。

MURO: 80年代~90年代に1番影響を受けたニューヨークのヒップホップのアーティストは誰かと言ったら、ビック・ダディ・ケインとエリックB&ラキムだったんです。それでブルヤスくんに相談をして、マーリー・マールへ聞いてもらったんです。収録されている曲は、当時お蔵入りをしてしまったバージョンなのですが、凄くシンプルで一気にブロンクスへ飛ぶというか、マーリー・マールの音はやっぱりニューヨークなんです。ネタを活かして、あまりいじらないプロダクションが良い。

MUROプロデュースの曲も入っていますが、これは何年に制作されたものですか?

MURO: 2006年ですね。映画『ワイルド・スタイル』の主人公がゾロという人なんですけど、リーさん(リー・ジョージ・キュノネス)が演じているんです。この曲は、僕はニューヨークをイメージしながらインストを作ったんですけど、リーさんがジャケットの絵を描いてくれたんです。それで2人で曲名を付けたんですけど、イースト・リバー・パークって『ワイルド・スタイル』にも出てくる公園なんです。

3都市が持つ、街の空気感が一枚のレコードに詰まっていると思いました。

MURO: 3都市感が上手く混ざり合っていたらいいなあと。それをレコードにしたかったですね。今も変わらず自分はレコードを掘っているので(笑)。たぶん耳がバイナルに慣れているんですよ。自分がDJをしているときに鳴らしたいなと思う音がレコードなんでしょうね。

Nick Walker 「フェイクなヒップホップが世界中に蔓延している中でMUROはかなりレベルの高いところにいる」

MUROさんに会ったのはこれで何度目ですか?

NICK: これで3~4度目だよ。ブリストルでMUROのミックステープを貰ったんだ。「STILL DIGGIN’」の1・2・3・4~とね。初めて聴いたとき、とにかく驚いた。僕はオールドスクールやブレイクビーツが大好きだから、たまらなかったね。MUROとは同じ世代なんだよ。世界的にフェイクなヒップホップが世界中に蔓延している中でMUROはかなりレベルの高いところにいる。だからこそ今回のプロジェクトをやってみたかったんだよ。

ニックはブリストル出身ですが、ワイルド・バンチのクルーとも幼少の頃は友達だったとか。どんな音楽背景があるのですか?

NICK: DJミロとかも通っていた、ブリストルのセントマークスヒルっていう学校へ通っていたんだ。その頃は100%ニューヨーク・ヒップホップを聴いていた。ジョン・ピールが夜の時間帯にやっていたラジオ番組で、ランDMCの「Sucka MC’s」を聴いて……ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダダダダダって、何だ、これ!? 最高すぎる!!! てね(笑)。そこからヒップホップにのめり込んでいって、スプレー缶を使ったグラフィティに興味を持ったんだよ。グランド・マスター・フラッシュとかのビデオを観たり、ジャン=ミシェル・バスキアを観てすげえと思った。本気でグラフィティをやりたいと思ったのは、TAKI183の作品を観てから。70年代~80年代のニューヨークは、僕にとってグラフィティのディズニーランドみたいなもんだったよ。

そして、90年代には憧れのニューヨークへ行ってしまったんですね(笑)。

NICK: 今でこそ監督のチャーリー・エイハーンは友達になったけど、83年に映画『ワイルド・スタイル』を観たときは「いつか必ずニューヨークへ行って、この人たちに会うぞ!」と思っていたからね。それで92年にニューヨークへ初めて行ったんだよ。初めて行ったときはブルックリンに滞在をしていたんだけど、結婚を機にニューヨークへ住むことにしたんだ。ローワーイーストにシュシュッ! と描いたりしていたよ。

その時代はブリストルはワイルド・バンチからマッシヴ・アタックなどが世界的に活躍をしはじめた時期かと思いますが。

NICK: DJミロが日本に行って、日本のものを取り入れてきたり、ニューヨークにいたときワイルド・バンチのカセットテープをアフリカ・イスラムがくれたり、MUROはニューヨークに影響を受けて「STILL DIGGIN’」をやっていたり。各々の都市にいる人たちが、影響をしあっていた時代だと思うんだよ。今でもワイルド・バンチやMUROのカセットテープは自分にとって格別なんだ。とにかく影響を受けたね。

アートに関してはグラフィティからどのように発展していったのですか?

NICK: 最初はフリーハンドでスプレー缶を使用したニューヨークのトレインアート。80年代から90年代に入ってからもフリーハンドでアウトラインをとって描いていて。それからステンシルアートに出会うんだ。最初はなんて簡単な手法だよと思っていたのに、自分の経験を増やすために始めてみたらすっかり夢中になってしまった。94年に始めて個展をやったんだけど、キャラクターのVANDALはこの頃に出来上がったんだよ。

キャラクターのVANDALを今回のアルバムのジャケットアートに起用していますが、この人物はどんなストーリーの元での設定になるのですか?

NICK: 60年代の銀行マンをイメージしているんだ。特にロンドンでは銀行マンのように同じ格好をしている人達がたくさんいる。その中でVANDALは、皆と同じ格好をしているけどグラフィティを描くんだ。銀行マンの格好をして現れて街中に描くんだけど、すぐに人ごみへと姿をくらます。人々が「彼を観た人はいるか?」と探しても、皆知らないというね。そのVANDALがカセットデッキを担いでいるのが、今回レコードのジャケットにした作品なんだよ。

text:Kana Yoshioka

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作品詳細
V.A.
『Compilation Vinyl by MURO(KING OF DIGGIN’) Nick Walker Arttide by Gypsy Eye』
WISE ENTERPRISE
12,000円(発売中)
販売店: HMV、タワーレコード、Arttitude(オンラインストア)
https://artittude.theshop.jp

プロフィール
MURO

1970年生まれ。DJ/プロデューサー。’80年代後半よりクラッシュ・ポッセ、マイクロフォン・ペイジャーなどで活躍した後、’99年にソロデビュー。国内での活動はもちろん、数々の海外アーティストと共演し作品を制作。またDJとしては世界有数のレコードディガーとして知られ、国内外で活躍している。2016年より自身がプロデューサーとして名を連ねる東京レコードをスタート。和モノを中心としたコンピレーションが話題を呼んでいるだけでなく、7インチのみでプレイをするDJ NORIとのCAPTAIN VYNLEでの活動も人気を呼んでいる。

NICK WALKER

1969年生まれ。ブリストル出身のグラフィティ&シルクスクリーンアーティスト。’80年代よりブリストルでグラフィティライターとして活動をスタートしてから、2013年までブリストルを拠点にアーティストとして活躍。ファッションシーンとのリンクや、スタンリー・キューブリックの映画作品に携わった経緯も持つ。2008年開催されたソロショーでさらに注目を浴び、ロンドンのショーでは前日に100人以上もの人々が並んだことも。現在はニューヨークを拠点に、UKストリート発のギャラリー所属トップアーティストとして活動中。


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