RYUHEI THE MAN『Next Message From The Man 5』

February 13,2014 | Category :  News | Tag :  


RYUHEI THE MAN


Next Message From The Man 5

職人技の結晶

by Takahito Kohno

 シリーズ前作がリリースされたのは2013年2月だったが、そのちょうど1年後に登場したこの『Next Message From The Man 5』は、RYUHEI THE MANが精魂込めて作り上げたミックス・シリーズの第5弾。2009年に始まり、おおよそ年1枚のペースで発表されてきたこのシリーズのコンセプトは明確で、以前筆者が行ったインタビューでRYUHEI THE MAN自身が言及したとおり、「2000年以降にリリースされたファンク、ソウル、レアグルーヴが中心」となり、さらにそこに「ファンクやソウルのグルーヴが感じられる楽曲、たとえばブレイクビーツだったりクロスオーバー・ジャズだったりハウスだったり」がミックスされているものだ。このシリーズは彼の豊富な経験と多才なキャリアの産物であり、DJとして、レコード収集家として、レコード店のオーナーとして、文筆家として、そしてプロデューサーとして、RYUHEI THE MANが培ってきた審美眼と磨き抜かれた名人芸の結晶である。シリーズ累計15,000枚という堂々たるセールスの背景にあるのは、彼のプロフェッショナルなプライドであり、偏愛とも言えそうな音楽への深い愛情に違いない。

 収録27曲、そのオープニングを飾るのは、ロシア屈指のファンク都市サンクトペテルブルクを拠点にするザ・ソウル・サーファーズのナンバーだ。YMOのカバーでも知られるアーチー・ベル&ザ・ドレルズ「Tighten Up」をモチーフにしたダンサー・ファンクで、のっけから熱く盛り上げる。そこからディアズポラの「Non Sports」、フライング・フィッシュの「A Name with No Horse」と解放的なタイト・グルーヴが展開し、マーク・マック(4ヒーロー)のファンク・プロジェクトであるヴィジョニアーズの「Apache」がリスナーの鼓膜に突き刺さる。もちろんこれは、“Bボーイ国歌”として知られるインクレディブル・ボンゴ・バンドの名曲のカバーだ。それに続くのがニューヨークのアフロ・ファンク・バンド、ココロによる「Soul Power (Lack of Afro Remix)」で、言うまでもなくジェームス・ブラウンの傑作ファンクのカバーである。カバー攻勢はさらに続き、オール・ザ・ピープルのファンク・クラシック「Cramp Your Style」のブレイケストラによるカバーも登場。さらにそこから、同じくブレイケストラがStones Throwに残した「Deuces Up, Double Down Pt.1」、オーサカ=モノレールがオーストラリアのシンガー、シャーリー・デイヴィスと一緒にレアグルーヴ名曲をカバーした「No Trouble on the Mountain」、こちらもフィメール・ボーカルが冴えわたるローラ・ヴェイン&ザ・ヴァイパートーンズの「100% (Draaikolk Remix)」と、巧妙にグルーヴが繋がれていく。

 そして、カニエ・ウェストが手がけたコモンの「Be」のカバーで、ミックスの空気が一変する。可憐なメロディーを刻むピアノ・リフに、アコースティック・ベースの印象的な爪弾き音などが重なり、徐々に疾走感と高揚感を帯びていく。日本のインスト・バンド、Indigo Jam Unitが生み出した絶品カバーだ。邦楽曲はさらに続き、富山のジャズ・ファンク・グループ、V.S.O.P Sessionsの「Next!! pt2」や、新鋭プロデューサーのDJ BLACKKEYS a.k.a NOSEによる「The NEW D.E.A.L part1」、日本を代表するファンク・バンドのひとつ、Mountain Mocha Kilimanjaroのファンキー・ダンサー「Blackbyrds’ Theme」が、ミックス中盤を鮮烈に彩る。

 アメリカの名門Ubiquityからリリースされた、ニューヨーク発のアフロ・ファンク・バンド、イケベ・シェイクダウンの「Tujunga」を挟んで、今度は国産ミュージシャンによるカリビアン・ゾーンへ突入。Reggaelation IndependAnceの「Black Steel」から始まり、COMA-CHIと和製サルサ・バンドのCENTRALによるラテン・ダンサー「Mama Used to Say」、ROOT SOULによるラテン・ブギー・ソウル「Spirit of Love」という絶妙の選曲だ。

 大沢伸一のプロジェクト、SAKURA HILLS DISCO 3000の「REAL THING (Sakuragarian Full Orchestra Mix)」に参加したMonday満ちるの歌声をきっかけに、ミックス終盤はハウスからディスコの流れで艶やかに攻める。A.Y.B. Forceの「Endless Dawn (Blowin’ It Forever)」や、ロス・チャーリーズ・オーケストラの「The Groove & It’s Synonyms」、サウス・ブロンクス・コミュニティー・ユース・プロジェクトによるフォスター・ジャクソン・グループのディスコ名曲のカバー「Feel the Spirit」、フィンランドを代表するファンク・バンド、ザ・ソウル・インヴェスティゲイターズをバックに従えたマイロン&Eによる爽快なディスコ・ソウル「Do It Do It Disco」、そして、沖野修也のブギー・ジャズ名曲「Give Your Love a Chance」という構成だ。

 いよいよオーラスにさしかかり、ベイカー・ブラザーズの軽妙なファンク「Patience」や、キングス・ゴー・フォースの情熱的なソウルフル・ファンク「Now We’re Gone」、イギリスのクラブ・ジャズ界の玄人たちが結成したグループ、ザ・スーパーフォニックスの「Elevate Our Mind」と繋げられ、「Never Did I Stop Loving You」で大団円を迎える、という流れだ。この最後の楽曲はRYUHEI THE MANプロデュースによる新録曲で、アリス・クラークの名曲をQ.A.S.B.が、晴れやかなラヴァーズ・ロック調に仕立て上げている。

 今回も日本、アメリカ、イギリス、イタリア、ドイツ、ロシアなど、世界中の音源がひとつのグルーヴとして結実しており、また、おおよそ半分の収録曲が初CD化でもあるが、パーフェクトと言っても過言ではない内容に仕上がった。その選曲過程においても、丹精込めて行われたミックス・ワークにおいても、妥協は一切ない。

RYUHEI THE MAN

『Next Message From The Man 5』

【CD】¥2,200 (Tax in)

2014.02.19 Release

LASTRUM

LACD-0246

www.lastrum.co.jp

1. Saint-Petersburg Breakdown Pt.1 / The Soul Surfers

2. Non Sports / Diazpora

3. A Name with No Horse / Flying Fish

4. Apache / Visioneers

5. Soul Power (Lack of Afro Remix) / Kokolo

6. Cramp Your Style / Breakestra

7. Deuces Up, Double Down Pt.1 / Breakestra

8. No Trouble on the Mountain / Osaka Monaurail feat. Shirley Davis

9. 100% (Draaikolk Remix) / Laura Vane & The Vipertones

10. Be (Remixed by Indigo Jam Unit) / Common

11. Next!! pt2 / V.S.O.P Sessions

12. NEW D.E.A.L part1 feat. 四方田‘Temjin’直人 (Mountain Mocha Kilimanjaro) / DJ BLACKKEYS

13. Blackbyrds’ Theme / Mountain Mocha Kilimanjaro

14. Tujunga / Ikebe Shakedown

15. Black Steel / Reggaelation IndependAnce

16. Mama Used to Say feat. CENTRAL / COMA-CHI

17. Spirit of Love feat. Vanessa Freeman & Mike Patto / ROOT SOUL

18. REAL THING (Sakuragarian Full Orchestra Mix) / SHD 3000 feat. MONDAY MICHIRU

19. Endless Dawn (Blowin’ It Forever) / A.Y.B. Force

20. The Groove & It’s Synonyms / Los Charly’s Orchestra

21. Feel the Spirit / South Bronx Community Youth Project

22. Do It Do It Disco / Myron & E

23. Give Your Love a Chance / Shuya Okino

24. Patience / The Baker Brothers

25. Now We’re Gone / Kings Go Forth

26. Elevate Our Mind / The Super-Phonics

27. Never Did I Stop Loving You / Q.A.S.B. + RYUHEI THE MAN

RYUHEI THE MAN
(universounds / The Man’s World Productions)

 90年代半ばよりレコード収集、執筆、DJを中心とした音楽活動を始め、ファンク/ソウル/レアグルーヴ/ヒップホップを中心としたジャンルを、都内で
開催されているイベント【WAH WAH】【HONEY DRIPPIN’】【EXTRA
EXTRA】を中心にして、全国各地でプレイ。ブラック・ミュージックを軸としたジャンルと年代を超えた幅広い選曲と安定したプレイには定評があり、オリ
ジナリティーに溢れたグルーヴを生み出すDJのひとりとして絶大な支持を得ている。また、2001年より国内外のトップDJ、コレクターも絶大な信頼をよ
せるレコード・ショップuniversoundsを主宰、ブラック・ミュージック全般にわたる豊富な知識をいかんなく発揮している。2002年にはDEV
LARGEらと伝説のミックステープ『Brothers On The Run』を、2003年にはDJシャドウによるアルバム『The
Private Repress』において日本人代表として参加。2004、2006、2007、2010年にはソロ・ミックスCD『A Message
From The Man
1/2/3/4』をリリース。その品質の高さで国内外問わず話題をさらった。2005年には国内初となるファンクの7インチのみによるディスク・ガイド
『FUNK 45′s』に筆者として参加。2009年にはレアグルーヴのバイブルとなるディスク・ガイド『Rare Groove A to
Z』に筆者として参加。同年には自身のキャリア初となるオフィシャル・ミックスCD『Next Message From The
Man』をリリース。さらに、国内ミュージック・フェスティバルの最高峰【Fuji Rock Festival
2010】にDJとして出演。また、ファン待望のオフィシャル・ミックスCD第2弾となる『Next Message From The Man
2』をリリース。2011年にはKASHI DA HANDSOMEとミックスCD『Soundtrack To The
Streets』をリリースし、そしてKGE the shadowmen「Stay Stoned
Pt.2」で遂にプロデューサーとしてデビューを果たす。2014年2月にはファン待望のオフィシャル・ミックスCDシリーズ第5弾となる『Next
Message From The Man 5』をリリース、3月にはQ.A.S.B. + RYUHEI THE
MANのコラボレーション第2弾となる7インチ・シングル「Never Did I Stop Loving
You」のリリースが決定。現在に至るまで、レコード・ショップのオーナー、DJ、プロデューサー、執筆活動と多方面で幅広い活躍を見せているかたわら、
ブロガーとしてMUROによるKING OF DIGGIN’ PRODUCTION BLOGにも参加、シーンの活性化に貢献している。

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