THE HANDMADE

March 04,2014 | Category :  News | Tag :  

THE HANDMADE

革新を遂げたバーボン
Maker’s Mark

 今から数年前に遡り、アメリカ版Wax Poetics No.42に掲載されたバーボン・ブランドMaker’s Markの広告は、深く渋いメッセージが組み込まれていた。見開きの広告には、レコード棚の写真があり、その最上段のスペースの一角にWax Poetics本誌が並び、横のスペースにはシンプルにポンとMaker’s Markが1本置かれていた。下段のスペースには見えるか見えないかでレコード・ジャケットがぎっしりとレコード棚らしく飾られている。そこにシンプルなフォントで記載されていた「Top Shelf.」という言葉は、直訳すると「上の棚」。それぞれレコード愛好家にとってのレコード棚の一番上段にはお気に入りのレコードやアイテムを飾るという比喩を込めたメッセージ、「Top」から想像できる両者のトップ・ブランドのイメージをシンプルで深みのある言葉で伝えていた。Maker’s Markが掲げる“ハンドメイド”へのこだわりは、Wax Poeticsの音楽へのこだわりと遠からずイメージをシンクロすることもできる。

US Wax Poetics No.42 July/August 2010 に掲載された広告

 Maker’s Markは、アメリカのケンタッキー州ロレットの蒸溜所で作られる唯一無二のハンドメイド・バーボン。歴史はとても古く1780年にまで遡る。スコッチ・アイリッシュ系(現北アイルランド)移民のロバート・サミュエルズが、ケンタッキーに移り住み、農業の仕事をしながら自家用ウイスキー作りをはじめた。それから60年後の1840年にロバートの孫にあたる3代目テーラー・ウィリアム・サミュエルズが蒸溜所を設立し、本格的なバーボン・ウイスキー製造を開始する。それまでの素朴な味わいのバーボンではなく、世界で評価される“最高品質のプレミアム・バーボン”の製造を探求していた6代目ビル・サミュエルズ・シニアにより、スパイシーでドライなライ麦よりも小麦のほうがまろやかで口当たりが良いことを発見し、冬小麦が採用され現在の味へと繋がった。


 Maker’s Markのロゴには深い意味があり、“S”は創業一族サミュエルズ家の頭文字、“IV”は本格的なウイスキー事業を始めた3代目から数えて、6代目まで4代続いたことを示している。星は蒸溜所がある場所にかつてあった農園スターヒルファームにちなんでおり、円は一家の歴史で、途切れている部分は南北戦争をはじめとした戦争や禁酒法時代を物語っている。

 そして、このプレミアム・バーボンが、他のアルコールと大きく違うイメージとなっているのが「機械まかせにせず、できる限り人の手でつくる」というこだわりの作業として、ディッピングというビンのふたにロウを垂らす“封蝋(ふうびん)”のひと手間だ。封蝋はここ日本ではあまり知られていないが、古くはアメリカで大切な人に宛てる手紙のふたにロウで封印をする作業。Maker’s Markは、これら封蝋作業を全て作業員の手作業でつけている。そのため、それぞれのビンによって微妙にロウの形が違う。こんな飲料はこの世にはMaker’s Mark以外にはないだろう。Maker’s Mark(製造者の印)という名前がつくように、それぞれ世界にひとつだけのオンリーワンなお酒なのだ。

 肝心の嗜み方は、なめらかでふくらみのあるスイート&スムーズな香味をショットで味わうのもよし、Maker’s Mark 30mlに適量のソーダ水でハイボールにし、輪切りオレンジを添えれば、ふっと鼻を通るスイートな味わいも楽しめる。グレープフルーツ、アップル、パインなどとの相性も非常にいい。そして、蒸溜所があるケンタッキーの人々が愛する飲み方が最もお勧めだ。“ミントジュレップ”という名前のカクテルで、クールなミントと、スイートなシュガーシロップを混ぜ合わせて、クラッシュド・アイスで飲む。それぞれの国や作り手によって作り方や味は変わるが、追加でソーダを入れたり、ペパーミント、スペアミント、アップルミントなど、色々なミントをその日の気分によって変えれば味の爽快感の違いを楽しめる。

 Maker’s Markのハンドメイドのこだわりと、オリジナリティを追求する姿勢はジャンルは違えど注目に値する。大切な人に届けるという封蝋作業をハンドメイドでおこなっているMaker’s Markの情熱は長い年月をかけて“味のこだわり”にもあらわれている。人々に“作り手の想い”を届けるために一番大切なものはなにか。テクノロジーが進化し高性能な機械で商品の量産が可能になったが、機械に頼らず可能なことは愛情を込めて、ハンドメイドで作り上げる作業は、これ以上に作り手の想いを心に感じられることはないだろう。


ミントジュレップとMaker’s Mark


アメリカ、ケンタッキー州ロレットの蒸溜所


ロレット蒸溜所の入り口

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