B.D.とMr.Itagaki a.k.a. Ita-choがBack ChannelとのEPを語る Pt 2

September 29,2016 | Category :  Page | Tag :  B.D., BACK CHANNEL, Mr.Itagaki a.k.a.Ita-cho,

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Title photo by Cherry Chill Will

B.D. x Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho: “BORDER” Special Box Set Interview

B.D.とMr.Itagaki a.k.a. Ita-choが語る 『Border』の裏側

Part 1 はこちら

―― さきほど説明してもらった、あちら側とこちら側で線引きをするという意味の“BORDER”はある意味排他的だと感じましたが、世界地図であったり搭乗券であったり、国境を超えて世界へと広がるようなイメージの“BORDER”もテーマなんですね?

B.D.: 音で旅をする、というか。音楽に国境はないと思うんですよ。ジャンルに壁はあっても音楽の上ではそういうのはないと思うので。

―― Kantoさんとはどういった出会いだったのですか?

B.D.: Kantoくんはデミさん(Nipps)に紹介してもらったのが最初ですね。Tetrad The Gang Of Fourっていうグループで絵を描いてもらったりしたんですけど、自分のやりたいことを言わないでもちゃんとわかってくれる数少ないひとりなんですよ。自分のアルバム『BALANCE』で一緒にやって相性が良いのはわかってたんで、今回絶対あいつだろって思って。Kantoくんは他のアーティストとあまりやってないんで、そこも良かった。あと街であいつのタグを見ても、立ち位置が共感できるんですよね。いつも皆がいるところにいるわけじゃなくて、ひとりでわからない所で打ってたりして、「こんなところにある!」って思ったり。そういうのがすごい共感できて。俺もどっちかっていうとそういう所にいるよりひとりで動いてるほうが好きなんで。

―― CDにジャケットがついてないのが新鮮です。

B.D.: パッケージ自体がジャケットなんで。中に紙で入れるよりCDの盤面でデザインしたほうが単純に綺麗だと思ったし、リリックをQRコードで読ませて見せようっていうアイディアは最初にあったんで、なら中に入れる必要はないんじゃないかなって。そういう仕掛けがあったほうが買った人にしか見れないし。

「サンプリングは崇高なスポーツ」 ― Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho

―― 制作において特に意識したことは?

B.D.: コンセプトに沿って全体的にまとめようっていうのは考えましたね。曲の間にスキットが入ってるんですけど、それがあることで曲の雰囲気も変わったんで。曲の順番はこだわりましたね。

Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho: 俺は自分でヴァイナルピンプなんて言ってるけど、サンプリングで音楽を作るのは簡単だって思ってる人がいるかもしれないけど、俺の中では崇高なスポーツで。わかる人はわかってくれる。「こういう風にドラム乗せるの難しくないですか?」とか、「良くズレないでできましたね」とかたまに褒めてくれる人がいるんだけど、それって俺の中ではすごく大きいことで。海外のガッチリ掘っててプロデューサーやってるようなヤツを「まじか・・・」って言わせるような、そんなものを作ろうと常に考えてる。

ポップに近いヒップホップを作るプロデューサーがやってるような、CD屋さんでCD買って、サンプリングして権利とって堂々と丸ごと使っちゃうみたいなのは、スポーツじゃなくてただの経済活動だと思うから。金のある人しかできない。こっちは隙間狙って誰も持ってないゴミみたいなやつ拾ってきて、「この国のこれだったら誰もわからないだろう」ってやってんだよね。

そのスポーツを楽しむには日頃から鍛えてないと成り立たないから。「どう?相変わらずお前らより上行ってるでしょ?」って言えるようなものを作ることは常に考えてて。わかりやすいものを使ったら、いずれ誰かもっと有名な人が使ったときに時系列無視して「〜と同じの使ってますよね」とか言われて終わるだけだから。そんなことないように自分の世界観とサンプリングのスポーツ感はこだわってる。ずっと俺はそこに自信持ってるんで。

でも俺は懐古主義じゃないんだよね。よく勘違いされるんだけど。年齢が年齢だから90sヒップホップがどうこうとか言われるときがあるんだけど、最近のヒップホップもネットでは一応聴いてるし、ある程度ヒップホップで起きてることを理解しつつ、無視してる。あと最近は和モノを掘ってて、今回1個和モノを使ったトラックをコウヘイに渡したんだけど、その世界では俺はまだただの駆け出しの素人みたいなもんだから、やっぱ使うのやめたんだよね。そのへんはスポーツ選手として怪我するわけにはいかないというか(笑)。

B.D.: (笑)

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Photo by Cherry Chill Will

―― データ配信が主流の現代において、手に取れる“モノ”として音楽を出すことが難しくなってきているかと思います。データではなく、フィジカルで作品をリリースすることにどういった意義があると感じますか?

Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho: パソコンだったら気に入らない音楽はゴミ箱に入れて終わる。でもCDでもなんでもモノとしてあれば、あるとき何か探してたときにポロッと落ちてきて「ああ、そういえば昔こんなの買ったな」みたいなチャンスがある。一度、CDでもアナログでも出てないアフリカの何かをデータで買ったことがあるんだけど、なんかしっくりこなかったんだよね。それをクラブでかけても音が違いすぎて。まぁ、配信はゴミかなって自分では思ってる。簡単に捨てられるものだし。単純に嫌いなんだよ。魅力がない。

「キャップは欲しいしタオルも欲しいけど、CDはいらねぇなぁ」ってなったら、メルカリ立ち上げるかDisk Unionに売りに行くかとかしてくれればいいし。そうすればモノは流通して、死なない。データだったらデスクトップ上から簡単に墓場に行っちゃう。作った人の努力ってか、気持ちが簡単に遮断されるんだよ。必要ないなら持ってなくてもいいけど、その代わりどっかに回してくれればいいよ。友達にあげるとか、どっかに売るとか、カラスよけにするとか、気に入らねぇヤツ目掛けて投げるとか。使い道がある。

俺は単純にモノが好きだから、「新しい曲できたんで、ダウンロードして聴いてください」って言われてもダウンロードしないし、「ウイルス入ってんじゃないのそれ?」ぐらいにしか思わないから(笑)。mp3もウイルスも俺の中では一緒だし。モノとして出す価値が音楽にはあるんじゃないかなって思う。

Mr.Itagaki a.k.a. Ita-choが明かす、レコードディグの真髄

―― では最後に、Itagakiさんが最近発見して興奮したレコードとか、ディグのエピソードを教えてもらえませんか?

Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho: うーん・・・じゃあ民謡とか演歌掘ってる話でもしようか?もともと俺、日本のレコードって大嫌いで。音悪いし、エンジニアのセンスないし。でもあるとき、MUROが『JAPANESE GANGSTER』の曲でサンプリングしてた、大上留利子っていう関西の歌手の曲聴いて「カッコいいなぁ」って思ってたら、やっぱり和の世界では有名なレコードで。ヤフオクで9000円とか1万円とかしちゃうような。関西のレコードって関東にあんまないんだけど、向こうのほうが自由感があるんだよ。関東のフォークとかって皆で愛を歌うみたいなくだらない感じが多いから興味なかったんだけど、関西フォークとかってリリックがすごいえげつない内容だったりして。

で、グルーヴがあってメロディーもカッコよくて歌も上手いみたいな国内のレコードを探すようになったんだけど、元々高いカネを払うつもりはなくて。俺はカネを出さないでレコードを探すってのがもとから好きなんだけど、海外行ってもディーラーのとこなんか高いから行かないで、スリフト(リサイクルショップ)回るとかずっとやってた。それで国内のゴミ屋を回るようになって。(註:ゴミ屋=リサイクルショップなど)今世間で“ライトメロウ”とか“シティーポップ”とかって呼ばれてるものは、目がつきやすいところに置いてあるから試しにバーっと買って一通り聴いて。プロデューサーだとか編曲者とかがだんだんわかるようになってきたら、すぐに底が見えたんだよね。しみったれた愛の歌、恋の歌だとか、なんかのパクリっぽいのだったり、ずっと同じアレンジだったり。でも良い曲もあるんだよ。LP1枚聴けば1曲くらい拾える曲があって。

そんな流れで、「このアレンジャーは歌謡曲やってるけどメインは演歌なんだな」とかわかってきて、今度は演歌を掘り出して。歌いまわしは演歌だけど、オケは全然演歌じゃないのとかもあって。それこそ北島三郎の「漁歌」っとか。和の世界では有名で、カバーがいっぱいあるんだけど、それ以外にもビート打っててグルーヴがあるような演歌って結構あるんだよ。

俺がよく行くイラン人がやってるゴミ屋があって、そこでレコードを見てたら、あるとき民謡のレコードを大量に買い取ってて。知ってるジャズのアレンジャーがやってるのとかがあったから何枚かクサそうなヤツ買ってみたら、結構鳥肌モノがあって。「おいおい、これもうファンクじゃねぇかよ!」みたいな。稀にアタリが出るんだよね。結構ありえないようなものが。ググってみたら全然出てこないやつとか、ヤフオクで何万とかの値段がついてるやつとか。

あと、とある場所でロックのシングル300枚くらいが50円くらいで売ってる店があって、「いいスか?」って全部見せてもらって。ロックンロールは大嫌いだけどロックは好きだから、とりあえずいけるだけいっとくかと思って200枚くらい抜いて帰ってきたら、すごい曲がいっぱいあったんだよ。UKのロック、アメリカのロックとか。某中古レコード店の買い取り価格表見たら、6万とか9万で買い取りしてるのとかがあってさ。それを店に持ってったら、店員が「これは・・・」って震えだして、店員が名刺切ってきて「私が責任を持って買い取りさせていただきます」みたいな(笑)。買い取りの人が名刺出してくること普通ないでしょ?

店員もニヤニヤしちゃって、俺の勝ちだなって思ったね。喜んでるところを見せたら負けなんだよ。レコード抜くときの基本は笑顔を見せないこと。海外に行ってレコード見て、ニヤっとしたり嬉しがった瞬間、向こうもそれを見てるわけだからそのレコードの値段は高くされる。ゲームフェイスっていうんだけど、ゲームするときは表情を変えない。何が出ても同じ顔して、「別に大していらねぇんだけど買ってやるよ」ぐらいの気持ちでやれば、全部同じ値段で買えるワケ。

とにかく、買い取りが終わったあとは店員全員に敬礼されて見送られたよ(笑)。全部で1万ちょっとで買ったレコードが最終的には数十万円になったっていう。買い付けでレアなやつ買ってきて、それを高く売るとかじゃなくて、国内のゴミ漁りでもそういうものに出会えるんだなぁって思ったね。国内のディグもやめられなくなった。地方にDJで呼ばれたら、昔は「とりあえず上手い飯屋連れてってもらっていいスか?」だったのが、今では「まずゴミ屋どっか連れてってください」になって(笑)。

レコ屋は基本行かないんだけど、「シングルだったら50円でいいよ」とか諦めてる店も地方にはあって。Dev Largeと一緒に函館行ったときにそういうレコ屋があったんだよ。店頭にはロックのLPしか並んでなくて、「7インチが欲しいんですよね」って行ったら、「こっちの棚の裏にあるよ」って言われて。狭いところで「あ、入れるかな?君は入れないや多分」とか言われて。それでDev Largeが先に入っていって、「イタさん・・・やべぇ」ってDev Largeの震える声が棚の向こうから聞こえてきて、俺は「まじか・・・!」みたいな(笑)。「ちょ、ちょっと早くどかして入れるようにしてくださいよ」とか言ってどかしてもらって俺も入っていって。結果的に俺そこ4回行ったかな。ディグで楽しい思いはずっと続いてるんだよね。コウヘイも最近は和モノ聞き出してるし。

B.D.: そうですね。

Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho: 自分なりに新しいものを見つけ出して、俺に教えてくれたり、DJで使ったりしてる。今まで目の向いてなかったところに目を向ける。そして自分でフォーカスできる人間だったら、なんらかの出会いがあるんじゃないかな。

B.D. “I DON’T WANNA” (Produced by MR. ITAGAKI A.K.A. ITA-CHO) taken from B.D. 『ILLSON』

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RELEASE INFORMATION

BACK CHANNEL×B.D.×Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho
-BORDER SPECIAL BOX SET-

  • 発売日: (金)
  • レーベル: GREEN BACK
  • 価格: ¥10,000+tax
Tracklist
  • 1.Mezame
  • 2.48Tricks
  • 3.Guidance
  • 4.Seventh Heaven
  • 5.16deep
  • 6.Fly Wire
  • 7.Iranai feat. OMSB
  • 8.Lemon
  • 9.Groovy Line
  • 10.Better Days
  • 11.Next Door

BORDER OFFICIAL SITE
http://border.grbk-killaturner.com

BACKCHANNEL OFFICIAL SITE
http://www.backchannel.jp/

PIMP & KILLA
-BORDER SPECIAL BOX SET RELEASE TOUR-

  1. 10月15日(土) 松本 @ GNU2ND
  2. 10月22日(土) 大阪 @ STOMP
  3. 10月29日(土) 仙台 @ CLUB SQUALL
  4. 11月19日(土) 高崎 @ WOAL
  5. 11月26日(土) 千葉 @ SOUND BAR MUI
  6. 12月03日(土) 広島 @ CREAM
  7. 12月16日(金) 青森 @ B.B CAFE
  8. 12月17日(土) 盛岡 @ MAD DISCO
  9. 01月08日(日) 札幌 @ DRIP CAFE
  10. 01月21日(土) 金沢 @ MANIER

ARTIST PROFILE

bd
B.D. (Rapper) 
10代よりソロ活動をスタート。その後IKB(池袋)や渋谷宇田川町を地場にTHE BROBUS (B.D.,BAZOO,DWEET,HASSY THE WANTED)を結成し、2枚のアルバムをリリースする。解散後再びソロに転向し『THE GENESIS』をリリース。その活動と平行してTETRAD THE GANG OF FOUR(NIPPS,B.D.,VIKN,SPERB)を結成。また、NIPPSとB.Dが中心となりアンダーグラウンドの雄が集結したTHE SEXORCISTが誕生。変態キャンペーンを合言葉にその活動に大きな注目を集める。そして2013年末にはユニバーサルミュージックよりメジャーアルバムとなる『BALANCE』をリリースする。KILLATURNER名義で制作したDJ MIX『KILLA SEASON_v』も各方面より高い評価を得ており、現在はDJとしての活動も行う。
grbk-killaturner.com
itagaki2
Mr.Itagaki a.k.a.Ita-cho (Producer)
Digger, producer, beatmaker, DJ, vinyl dealer,v intage blaxploitaition & kung fu poster dealer。ヒップホップのレコードを世界一売った店の元バイヤーとして 100タイトルを越えるエクスクルーシブ盤の制作やクラシックタイトルの再発に関わり、高い評価を受ける。アメリカ、ヨーロッパなど海外へ買い付けに行っては掘りまくるハードディガーであり、 数多くのジャパニーズ・ヒップホップ作品のプロデュースワークでも知られる。DJプレイでは各地にて黒いバイブスに裏付けされた幅広いジャンルの選曲で玄人筋から評価を得ている。06年のオリジナルアルバムに続き、09年にビクターエンターテインメントよりリリースされたP&P records音源を使ったオフィシャルMIXCDは、UKチャートでNo. 1を獲得。作品のジャケットデザインを始め、アパレルブランドのアートワークディレクションもこなす元調理師でK.O.D.Pのメンバー。
thevinylpimp.com
kanto
寛人 / Kanto(Designer)
建築をイギリスで学び、世界各地で建築設計やインテリア、プロダクトデザインを行う。一方で、2011年より独学にて”Maze”と名付けた手法で絵の制作を始める。現在は主に音楽演奏の場でのライブペインティングや、建築、デザインの領域で活動。太さの異なる線を組み合わせたグラフィカルな画風で陰影を表現し、写実と抽象の融合を試みている。
backchannel-logo
BACK CHANNEL
1999年、東京でアンダーウェア・メーカーとして製品作りをスタート。ブランド名は「裏ルート」という意味を持ち、現在ではテキスタイル、シェイプ、ファンクションの融合をコンセプトに、トップスやボトムスにアクセサリーといった幅広いメンズコレクションを展開している。ストリートを背景に、高品質マテリアル、高性能ディテールをとことん追求し、毎シーズン独自の世界観でオーセンティックなアパレルを表現。また、近年では本格アウトドアブランドとのコラボレーションも実現し、アウトドア愛好家も納得するハイクオリティなプロダクトを数多く発表。着る人の雰囲気や個性を最大限に引き出すことを意図した、洋服作りを続けている。
BackChannel.jp

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